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【MOU404】8話感想ネタバレ:蒲さんと出会った伊吹と堀内の分岐点

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shehan peruma | Flickr

 

勝手にドラマアカデミー賞最優秀主演男優賞・綾野剛にあげる! 決定! そのくらいの熱演にあたしゃ感動したよ。もおおおおーーー名シーンだらけ。授賞式の紹介ムービー流すなら、伊吹の部屋での志摩との会話と、蒲さんとのシーンをつなげて紹介したいくらいだよ!

 

以下、ネタバレがありますので、見ていない方はご注意を!

 

 

もう綾野剛の熱演に尽きる

どんどん複雑な演技が素晴らしくなっていく綾野剛。ただのイケメン俳優から脱出したかんじがするわ。とにかく脚本のテンポの良さと星野源のさすがミュージシャンというかコントできるからというか、2人の間合いが絶妙。相見えないかと思われた2人がだんだんに近くなっていく。感覚的な伊吹と論理的な志摩がお互いが持っていないものを持ち寄って寄り添い理解していく。エピソードが進んでいくごとにそれが色濃くなっていくのがいい。

 

伊吹の部屋での志摩との会話。志摩の指摘が的を得ているわけよ。すでにドラマ序盤で蒲さんの奥さんの歩行器の曲がり具合や、事件当時の十字架のネックレス画像で本当は伊吹も何かを感じていた。だけど、かつて荒れていた自分を導いてくれた恩師でもある蒲さんを信じたいがゆえに、志摩の言うバイアス、バイアスというより伊吹の中でも意図的に見てみないふりをしたってことだよね。

 

5話の録画見直してみた。コンビニ強盗事件が起きたのが6月9日。その後、海外から来た人を支援するボランティアをやっていた蒲さんと伊吹が居酒屋で会っていて、「お前は人を信じすぎる」という意味深なセリフを言っていた蒲さん。これって伏線ぽいと思っていたら、本当に伏線だったのね。

 

伊吹が4機捜に来た4月に蒲さん夫婦は事故に遭っていて奥さんも亡くなっている。ドラマ冒頭で死体が見つかった時点で1ヶ月は経過していたっぽい。となるとよ、5話の6月の時点ですでに人を殺めていたってことじゃない? 

 

摩志が独自に事故や事故車を調べていくうちに、蒲さんに動機があることを指摘するも、蒲さんは刑事なんだからと絶対認めない伊吹。そりゃあ認めたくないさ。あのときの伊吹、というか綾野剛の感情の揺れ動きと迫力のある演技。ここだけでもうアカデミー賞もんだからね。何回も見てしまったわ。

 

伊吹の部屋でのやりとりで2人は蒲さんへの疑惑を確定させたってことで、CM明けは蒲さんちに伊吹が訪問するシーンから始まる。かなーり穏やかに、いつものように蒲さんを訪ねる伊吹。奥さんの写真が見たいという伊吹が写真を見ると、そこには十字架のネックレスをした奥さんの写真。映像はネックレスを上から下へしっかり映し出す。これは死体にかかっていたネックレスと同じ=蒲さん犯人確定のシーン。

 

ここからの流れが泣けるのよ。「キリスト教の教えは赦しなんだって」というフリから、服役することは赦すことだと、そういう気持ちで刑事をやってきたという蒲さん。

 

ドラマ中盤では、なんとか記憶を思い出してほしいと伊吹は蒲さんに詰め寄っていたのに、今度は蒲さんに事故の事実を突きつけながら、「事故のことも、犯人も忘れた。そうだよね?」と思い出さないでほしい、忘れてほしい伊吹。このシーンの伊吹の祈るような視線がたまらん。だって、蒲さんを信じていたいんだものね。

 

事故の回想シーンが痛ましすぎる。ちゃんとぼかすように映していたけど、人を轢いてさらにバックで体の上を乗り上げるというエグいシーン。たしかにあれは殺人。だけど、交通事故で目撃者がいなければ過失致死になるだけ。

 

これは常に社会問題になっている問題で、交通事故で何人亡くなっても死刑にはならないし、よほど悪質な運転でも1年以上20年以下の懲役なんだだそうだ。これは交通事故の被害者は悔やんでも悔やみきれないですよ。

 

www.jicobengo.com

 

警察官として法を知っているからこその蒲さんの許せない気持ち、わからないでもない。しかも、服役を2回もして許されたのに、というくだりがものすごい辛い。これって、志摩の元相棒が志摩に食い下がろうとして努力するも、志摩が突き放してしまった感じになって、元相棒の分岐点が変わってしまったあれと似ている。

 

蒲さんの奥さんを殺した犯人・堀内(のちに被害者になるんだけど)が2度も服役で許されたはずなのに、またしても過ちを犯してしまうとか、ドラマのテーマとして脈々と流れる「分岐点」。

 

誰でもやり直せるって教えてくれたじゃん。俺に! 

んねええ~~蒲さーーん!

 

懇願するようなセリフにグッと来たねぇ。ここの綾野剛、好き。

 

誰と会うか。蒲さんと出会って道を変えることができた伊吹と、何度も会っているのに変えられなかった堀内。この差はなんなんだろう。出会ったタイミングなんだろうか。

 

伊吹はまだ未成年で若いときだったし、捕まったとしても補導レベルだろうし、いくらでも未来を選択できる年齢だった。一方、堀内は大人になってから罪を犯し、2度の服役。3度めの罪は蒲さんに無碍にされたと感じて報復を選択してしまうという短絡さ。服役を繰り返すことで社会の無理解や厳しさに希望を見いだせなくなってしまったのか......。

 

タイミングや年齢は違うけれど、蒲さんは伊吹も堀内も人として信じたはずだ。ということは、罪を犯した未成年か成人かによって、犯罪歴の付き方も変わるし、社会的制裁も違ってくる。そういう差なのかもしれない。

 

過ちを犯したことを許し、受け入れること。信じられる場所や信じてくれる人がいることが、分岐点に立った時に大きく未来を変えていく。でも最後は自分の選択ってことなんだ。

 

蒲さんが、逮捕後に言い放ったセリフがあまりにも衝撃的だった。

俺のような人間を収監して飯を食わせるなんて税金の無駄だ 

 

これは、蒲さんが犯罪者の服役を「赦し」だと言っていたけれど、本当は赦してなんかいなかったんじゃないかと思った。キリスト教徒として信心して教えのように生きようとしてきたことが、本心をマスクしていた気がする。

 

イタリア(キリスト教の大元だね)では窃盗は捕まえてもすぐ開放するというくだりを話しながら、それと同じように自分が捕まえた犯罪者を服役という言葉で赦してきたつもりでいた。でも、いざ自分の身に降り掛かったとき、そんなものは消え去った。蒲さんは犯罪者を赦してなんかいない。服役という言葉を借りてそんな気になっていただけじゃないかと。

 

本当は赦してもいないし、信じてもいないのに、「赦し」が大事だからって赦したふりをする。「税金の無駄」と元からそういう信念かのようにまっすぐに言い放った蒲さん。これが本心なんだよ。

 

だから、伊吹に人を信じすぎると言ったのも、すでに伊吹の信頼に値するような人間ではないということを言ってたんだなぁ。

 

蒲さんの「早く死刑にしてくれ」の言葉を受けて、ショックを受けた伊吹の表情。誰しもああなるよねというような綾野剛の演技がうますぎ。なんて繊細な演技をするのおお! 見てるこっちはもう可哀想でしょうがなかったわよ。

 

恩師であり、目標でもあり、信じていた人の罪。裏切られることのショックたるや。私も何十年も生きていると裏切られたり裏切ったりしてきたので、どっちの気持ちもわかって辛かったな。思わず、過去の出来事に対して謝りたくなった。あのときのあの人、本当にごめんなさい。

 

蒲さん逮捕の瞬間、いつものように『感電』が流れるわけだけど、今回ばかりは脳内Lemonが流れたね。「夢ならばどれほどよかったでしょう~」。本当に夢ならよかったのにね。『アンナチュラル』の中堂さんは復讐殺人しなくて済んだけど、蒲さんはやってしまった。ああ、つらい。最後の志摩の言葉どおりよ。全警察官、伊吹のためにも罪を犯してほしくなかったよ。

 

伊吹と志摩の関係性が重要なドラマなので、やっぱり『感電』がぴったりくるんだなと思ったのは、志摩が迎えに行く屋上シーン。ちょうど「やるせなさをひっさげて~」が流れるあたりがまた泣ける。2人ともずっとやるせなさばっかりだもん。

 

とにかく8話は綾野剛の我慢づくしの演技がすごかった。泣きたくても泣けない(というか既に心では泣いているけれど表立って号泣できない)難しい演技。

 

屋上といえば、場所は違うけど志摩の元相棒がたそがれた果てに転落死した場所でもあるわけで、恩師の逮捕ショックでピタゴラスイッチの分岐点にいる伊吹という相棒に、今度こそ寄り添えた志摩も、ある意味救われたんじゃないかなと勝手に想像してしまった。

 

『アンナチュラル』コラボ最高すぎる

坂本さん(飯尾和樹)出演は既にアナウンスされていたから、それはそれで楽しみだったけど、それ以上にまさかの合成音であろう中堂さんの「クソが!」が携帯越しに聞こえ、さらにUDI所長の神倉さん(松重豊)まで登場してくれてテンションマックス! またしてもアンナチュラルSE使われまくりだったし、神倉さんのセリフに何度も出てくる中堂さんの描写が最高すぎる。

 

「感じ悪い口が悪い態度悪いの三拍子揃った男でしてね」とか、「連続殺人と聞くと並々ならぬ思い入れを持ってしまう」とかさ。ああ、中堂さん、まだUDIにいたんだなーと感慨深かったのよ。坂本さんも中堂さんのクソ発言に慣れて、やりすごして仕事はできているようでよかったわ。あとは、ミコト、東海林、六郎、葬儀屋の木林さんの出演待ってる。なんなら中堂さんみたいに声だけでもいいよ。

 

今回は伊吹が辛すぎる展開だったけど、志摩がいてくれたおかげで、道を反れずにいられた。やはり今回もいつ誰と出会うかの「分岐点」。出会ったとしても、その先を選択するのはその本人だけということ。毎回考えさせられますね。

 

おしまい。

 

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