ああ~~~!可愛い!志尊淳ちゃん。
戦隊ヒーロー出身、ドラマ・舞台などを着実にこなし、最近は「ソフトバンク」CMに朝ドラ「半分、青い」出演と引っ張りだこの志尊淳ちゃん。ドラマ「女子的生活」をみるまでは、正直、知らなかったのですが、いやー今年一気にブレイクしましたね。
朝ドラ出演により、さらに認知度が高まりそうな志尊淳ちゃんを語るには、もーードラマ「女子的生活」しかないでしょう!
NHKもいよいよトランスジェンダーものをドラマにしたかと興味本位で視聴したドラマだったのだけど、初回から志尊淳ちゃんの女装に度肝抜かれてしまいました。今回はドラマ「女子的生活」を紹介したいと思います。
※ストーリーのネタバレはありません。
志尊淳ちゃんがとにかく可愛い
トッキョージャーのときの女装からその可愛さの片鱗はみせていたけれど、このドラマで本領発揮されました。しかもガチ指導を受けて身体も作りこんでいるのでハンパな女装ではありません。
男性の面影は残しつつも、とにかく可愛い!!! 男性としても普通に可愛いけど、元の素材がいいだけに想像以上に女装が可愛かったし、よくありがちな「男性が女装してます」的な違和感がほとんどない。街をそのまま歩いても、よーくみないかぎりは気づかれないんじゃないですかね。
最近の俳優さんで役柄上の女装をしていたのは、城田優、三浦春馬あたりもかなりの可愛さだったけど、やっぱり志尊淳ちゃんがダントツに可愛い。
うちの近所のスーパーにも、春になると女装のミニスカおじさんが出没するんですが、骨格も足も筋肉ばっているし、元々髭の濃い人らしく口周りが青くなっているという完成度の低さにがっかり。志尊淳ちゃんを見習って欲しいわ。
以前、ロケ地が関西ということもあって、NHK大阪局の「ごごナマ」ゲストに出演していたときの話では、この役のために体重を落とすことはもちろんのこと、足をキレイに見せるために足の筋肉を落とし、ウォーキングもみっちり習得。
実際にスタジオでウォーキングをしてみせたときのしなやかな歩き方ったら、普通の女性以上に女性らしいのよ。メイクシーンなんて色っぽいし、みているこちらがドキドキするほど。
さらに、しぐさは女性から習ったのではなくて、西原さつきさんというトランスジェンダー当事者の方に指導を受け、女性らしい所作を教わったのだそう。そのトレーニングの苦労は以下のリンクをご参照ください。志尊淳ちゃんてすごくマジメなんだと思ったわ。
小川みきのキャラクターが魅力的
最初は、可愛い男の子が女装するのかーという興味しかなくてドラマを見始めたのだけど、ストーリーの骨組みもしっかりしていたし、主人公の小川みきのキャラ設定が女装というだけでなく、社会の中でしっかり立って芯のあるキャラ設定でもあったので、ただの興味本位だったのがいつのまにかドラマに引き込まれていました。
今までもLGBTやトランスジェンダーをキャラに組み込んだドラマはいくつもありますが、どこか悲壮感があったり、表に出ない影の存在のような扱われ方が多かった気がする。2015年のドラマ「問題のあるレストラン」で女装が好きなゲイのパティシエ役・安田顕なんかがそんな感じ(あんまりキレイじゃなかったし)。
この「女子的生活」では、主人公・小川みきが自信を持ってさっそうと街を歩いていたり、休日だけ趣味でやる女装なのではなく、生活全部が女装のままきちんと仕事で活躍し、しかもその会社もみきの存在を受け入れているという(どことなく存在を利用している感も否めないのだけど)、今までにない「最初からトランスジェンダーありき」の設定からスタート。まずそこに驚いたわけですよ。
今までのドラマだったら、ドラマの中盤あたりでカミングアウトパターンが多いけど、このドラマは主人公がまずトランスジェンダーなのだから、みているこちら側も「トランスジェンダーのみき」の視点から一緒にドラマを辿る。それもすごく新鮮。
1話ではまず、みき自身の在り方や強さが描かれます。トランスジェンダーといってもいろんなタイプがあるのですが、みきの場合、性別は男性、女装が好きな異性愛者。合コンシーンでは、男性を物色するのではなく、気の強い生意気な女性が好みという性癖まで出てきて、みきが仕事も恋愛もどんな風に生きているのか、ひととなりがわかるようにもなっています。
みきは、トランスジェンダーだからってコソコソ暮らそうとする気持ちなどみじんもない。あまりにも堂々としていて清々しいほどなのよ。そうかと思えば、他人の心の動きや弱さにも敏感で本質を突く洞察力もある。トランスジェンダーとか女装がどうとかを超えて、人としてとても魅力的なキャラクター。役作りはそうとう練り上げたんだろうと推測します。
合コンでのマウンティングする様やモノローグも斬新だったし、女装前の自分を知っている同級生が住むところをなくして自宅に転がり込んできても、男同士のなあなあな感じではなく毅然として自分の領域は侵させない。自分をまず第一に尊重し、他人も尊重する。本当に自分をしっかり持つってこういうことだよなと改めて感心してしまった。
ルームシェアという設定もこのドラマのポイント。そこでもきちんと棲み分けているというか慣れ合いになっていない。転がり込んできた同級生(町田啓太)がルーズに暮らそうものならピシッと怒りたしなめる。きちんとルールを決めて共存しようとする様子はこのドラマの根幹ともいえます。一緒にいる相手、ひいては社会に存在する人々が、どんな性癖、趣味嗜好であってもお互いを認め合い、尊重し、共存しあう。本当はそれだけでいいわけよ。人として究極の答えなのだと思いましたね。
人はどこか受け身で生きている
トランスジェンダーで女装しているみきがあまりにも堂々と生きている中で、そうではない他の人の弱さや受動的に生きている人々もエピソードとして取り上げられます。誰しも自分らしく生きているとはいえない状況のなかで、自分なりに「生きる」とはなにか、みきの生き様が受動的で殻を破れない人々に刺激を与えながら問いかけていくんです。
かと思えば、みきは自分の立場をわかってて立ち回るシーンも多く、それがなんとも刹那的。堂々と生きているつもりでも、この女装姿は万人に受け入れられるわけでもなく、ましてや女装のままで仕事ができることなんてまだまだ一般的ではない。だからこそ、それがどこかみきにとって女装は強みと弱み、両方の側面をもっているところも丁寧に描いています。
トランスジェンダーとしの生き方というか、世間に全部受け入れられているわけではないことを理解しつつ、それすらも受け入れて立っている姿が凜々しくも儚く、がんばって立っているようにも見えるみき。そんな微妙な感覚をしっかり演じていた志尊淳ちゃんの力量は目を見張るものがありました。
みきを取り巻く周りの人間(同級生、同僚、恋人、親、兄弟など)、理解のある人間とそうでない人間のリアルな描写とみきの葛藤(LGBTあるあるなんでしょうね)。それでもみきはみきらしくいることで、最初は驚いたり引いていた人もだんだん受け入れていく描写もすごく優しくていい。
みきというキャラクターを通して、きれいごとばかりじゃない当事者目線を共有し、また、いろんなジェンダーや立場の人間がこの世に存在し、お互いを尊重し共存するための認知が自然と広がるようなとてもいいドラマだと思いますし、ジェンダーうんぬんだけでなく、自分の中の固定概念を壊し、人生において受け身で消極的だったり、殻を破れないとか、何か迷っている人にこそ、このドラマをオススメしたいですね。
この方の生き方も素敵です。
今後の志尊淳ちゃんの行方
このドラマでの演技が認められ、志尊淳ちゃん「コンフィデンスアワード」主演男優賞受賞されましたね。おめでとうございます。
?ご報告?
— 志尊淳 (@jun_shison0305) 2018年4月27日
この度
第11回
「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」
で主演男優賞を頂きました。
女子的生活・小川みき
に出会えた事、改めて幸せに思います。
支えてくださった皆様
ありがとうございました。
少しだけ、ほんとに少しだけ
自信が持てました。
これからも誠心誠意努力します。 pic.twitter.com/QjxXC3fbOU
演技派と呼ばれる若手俳優さんはいっぱいいますが、若いうちにクセのある役柄を演じてしまうと、そのイメージがしばらくつきまとって似たような役が続きがちになるんですよね。
例えば、二階堂ふみ、門脇麦、池松壮亮とか、若いうちから濡れ場経験しちゃったおかげで、エロティックOKな役柄が続くとか。なーんか志尊淳ちゃんもしばらくそうなりそうな予感。しかも、若いうちはルックス依存キャスティングで役柄も似たり寄ったりになりそうだし。
その兆候として、「女子的生活」の後、日テレ「トドメの接吻」では旺太郎(山﨑賢人)の後輩ホストで旺太郎に異常な好意を持っている(つまりゲイ)役だったし、朝ドラ「半分、青い」ではまたしてもゲイ役じゃないですか。「女子的生活」でみっちり経験を積んだので使いやすいのかもしれないけど、しばらくはこういうニーズになっちゃうのかな。志尊淳ちゃんには、ぜひともいい作品に出会っていろんな役をやってほしいものです。
もしかしたら将来、エディ・レッドメインみたいに映画で女装ニーズがあるかもしれないし、今後も世の中的にボーダーレスなテーマの映画やドラマが増えそうなので、志尊淳ちゃんの出演頻度は増えるかも。それはそれでうれしいので、たとえLGBT役が続いても腐らずがんばって欲しいし、難しい役をこなした10年後くらいに、もっといい俳優になっていることを期待しています。
来週から「半分、青い」は本格的に東京編スタート。楽しみです。