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アメリカ版『グッド・ワイフ(The Good Wife)』と日本版を比較してみた

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The Good Wife - CBS.com

 

 

さて、原作のドラマはどんなだったか、んまあああ~~いろんな意味で驚きと衝撃だったわ!

 

以下、ネタバレを含みます。私のように日本版を先に見て、あとからアメリカ版『The Good Wife』を見ようかなと楽しみにしている方はご注意ください。

 

 

 

いい意味でぜんぜん別物です

もうね、日本版とアメリカ版、基本的なプロットはほぼほぼ同じだけど、ぜんぜん別物といっていいです。それは「いい意味で」。

 

なぜなら、まったくもって文化や描写の許容範囲が違うので、大筋のプロットは押さえておきつつ国ごとの文化に合わせないと、放送倫理だとか放送時間帯の観点からも作れないし、文化や法律がまったく違うのに同じものは作りようがない。そもそもリメイクとはそういうものだよねということをまざまざと見せられた気がしています。

 

常盤貴子にアメリカ版のようにあんなこともこんなこともさせたら面白いだろうなと思ったけれども、やはり日本版はあのなるのは仕方ない。

 

あ、アメリカ版のキャストについて補足すると、

アリシア=常盤貴子

ウィル=小泉孝太郎

ダイアン=賀来千香子

とだけ覚えておいてください。

 

まず、アメリカ版、R指定じゃないという驚き。弁護する事件がセックスだーポルノだー売春婦だーつま先しゃぶるーとか卑猥用語(吹き替えで観たのでF○CKは出てこなかったけども)がバンバン出てくるのはまあいいとして、夫の不貞の証拠であるらしいセックス音声や画像がヒロイン・アリシアの子どもの前にも容赦なくバンバン出てくる。ニュースメディアも不貞を犯した夫のセックス音声をネット上にアップしたり、アリシアが夫の不貞を許せず、夫と娼婦の絡み合うセックスシーンのフラッシュバックに悩まされる場面が何回も出てくる。

 

まてまて、こういう内容って有料チャンネルっぽいじゃない? CBSって地上波だったよな?と思って現在のアメリカテレビ事情をググってみたら、地上波には変わりないんだけれども(アンテナ購入すれば無料で観られる)、テレビドラマなどのコンテンツはケーブルテレビに加入して有料で観るしかないらしいです。

 

↓ 参考にさせていただいたブログ

アメリカのテレビ事情について:アメリカ研究留学への道:So-netブログ

 

ということはだよ、地上波といえども、コンテンツは事実上有料放送みたいなものだから、日本でいうところのWOWOWみたいに顧客を囲い込み、不特定多数の目に触れる無料放送ではなく有料で観たい人にみせる。それならR指定じゃなくてもまあまあ許される範囲ってことなのね。

 

日本でも例に挙げると、WOWOWドラマで坂元裕二氏脚本の『モザイクジャパン』というドラマがあるんですが、アダルトビデオ業界をモチーフにしたストーリーで性描写がすんごいわけ。あの高橋一生がセリフを雄弁に語りながら人の目の前でAV女優の後ろから××まくるんだから! 有料チャンネルだからこそできる過激な描写ってことよ。

 

元ネタが有料放送ならではの過激さなので、日本の民放ゴールデンタイム向けにスケールダウンさせるしかないよね~と妙に納得してしまいましたよ。このドラマに限らず、欧米作品のリメイクと名のついたものは、もはや、日本文化と欧米文化の違いをドラマを通して比較して楽しむ、もしくは、最初からプロット以外は別物というスタンスで観ないといけないと、この作品で学び、肝に銘じたところです。

 

同じ部分と違っていた部分

大筋のプロット(ほぼ同じ部分)

  • 夫の収賄容疑とセックススキャンダル(アメリカ版の夫のほうが女性関係お盛ん)
  • そのことによるヒロインの弁護士復帰
  • 家族構成
  • 嫁姑の確執(アメリカ版はどちらかというと娘と姑に確執が強い)
  • 個性的な姑着メロ(アメリカ版では「トワイライトゾーン」笑ってしまった)
  • 法律事務所の主要キャスト
  • (事件設定に違いはあれど)二転三転する展開
  • 証拠集めからーのどんでん返し

といったところの骨組みはほぼほぼ同じで、これらを日本向けに作り、日曜夜9時に耐えうる内容にかなり過激さをそぎ落としてスケールダウンしたという印象。

 

大きく違うなと思った部分

  • 取り扱う事件の内容と原告側の性別
  • 裁判の際に陪審員がちゃんといること
  • 夫が収監されている施設は面会するときに壁もないし、一緒に敷地内を歩いたり触れたりできること
  • 情報収集をするときにパラリーガルの女性がシャツのボタンを開けてお胸の谷間チラリで情報を得ること(水原希子には谷間チラリは無理だったのか)
  • アリシアの周りはウィル(日本版・小泉孝太郎)以外、敵だらけですごく辛く当たってくる(日本版も回が進むとそうなるのかも)

思いつくのはそのくらいかな。

 

アメリカは日本よりも女性進出においては先を行っているものと思いきや、ハラスメントだらけなのも先進国のようで、男性社会の中で女性の立場はまだまだ低く見られている描写がみられたり、欧米人はレディーファーストとか言われますけど意外と男尊女卑は根深いものがある。どこか女性を都合のいいお飾りのように扱っているところや、人種差別的な描写もしっかり入っています。

 

さまざまな差別の中で強く立ち上がる、不遇で気の強い元美人弁護士設定というのが、いかにもアメリカの好むヒーロー(ヒロイン)スタイルで、日本版とは趣の違いというか、力のいれ具合が違うなと感じました。

 

その点、日本版はやはり日本人好みにうまくアレンジされていると思います。美人なのは当たり前としても、アリシアほど強気ではない、むしろ昭和的従順な妻像。不倫されても堪え忍び、(今のところ)夫の不倫について悶々と想像を巡らせることもなく(アメリカ版みたいに、oh~ah~~みたいな唐沢寿明のからみとかエロ音源は聞きたくないし)、いきなり夫を殴ることもない。担当した原告側に対しても命令口調でもないし、きわめて物腰の柔らかい日本人が望む主婦像のまんま。

 

アメリカ版は、ヒロインのアリシアが夫の収賄容疑よりも、セックススキャンダルの苦悩を強調しているように思える展開(日本版でも多少表現はあったにせよ、そこまで強調されてなかったように思う)。

 

あれかな、リーガルものをいいことに美女だらけにしてセクシーさをアピール、男性視聴者狙い。男の不貞に果敢に挑んで成敗し、なおかつ新しい男といい関係になるという女性視聴者をも納得させるように作ったのかなとも見えないでもない。

 

国は違えど、本質的な部分で女性として妻として、夫に裏切られたという言い表せない感情は同じだと思うんだけど、表現の違いに国ごとの差がこうも違うのかと思いましたよね。

 

弁護を担当した女性が性的被害を受けて、それにまつわる性的サービスの名称とかいろいろ出てくるんだけど、その都度アリシアが顔をしかめて自分と夫とのことに繋げて苦悩するのよ。夫の贈収賄スキャンダルも重要なストーリー要素だけど、それよりもアリシアの「夫が娼婦とあんなことこんなこと~~!?」と悶々と苦悩するのと同時に、それをはねのけようとする強さを全面に出しまくり、とにかく強くこの難局を乗り切ってやるわ!という暑苦しささえある。

 

この温度差の違い。常盤貴子はそこまで暑苦しくない。つーか、日本版は抑えすぎ、我慢しすぎじゃないかね。

 

もうね、アリシアは常盤貴子のように久しぶりの社会復帰でおどおどしてないの。アメリカ版の1話では夫の謝罪会見に貞淑な妻として付き添ったあと、終わったあと夫にビンタを食らわす! これこそがアメリカ版。もう強い女性が好きなんだね。ワンダーウーマンとかさ。日本版は夫に対して感情こそ冷ややかになっているけど、そこまで夫に強く出ていないもんね。あえて日本人的にしたんだろうけど、女として怒りは同じ。本当は唐沢寿明をひっぱたくくらいしてほしかったわ。

 

 

賀来千香子が子猫に見えるくらいダイアンが強烈

法律事務所のボスであるダイアン(日本版では賀来千香子)もめっちゃ強い! もうトカゲかと思うような爬虫類系なルックスから繰り出す毒舌がも~~怖いの。アリシアのことを最初は「男社会だから女同士協力しましょう」とか言っておきながら、アリシアが元々優秀ゆえにダイアンが気付かないことを指摘したとわかると、手のひらを返したように敵対心丸出しにする。あげく、アリシアのことを「年ばかり食ったプライドの高い犬に芸を教え込むようなものよ!」と影で毒を吐くのよ。きゃ~こわい。

 

日本版では賀来千香子が強めの口調で「手持ちのカードで戦うしかない」くらいの優しいセリフだったので、この落差にまあ~~驚いたわ。とにかくアメリカ版は法廷に出てくる原告以外の女性登場人物はみんなアクが強い。日本版のように繊細さとか奥ゆかしさのみじんもないから。とにかくパワーでグイグイくる。

 

同じセリフでもまったく印象が違う

日本版では、アソシエイトは1人だけ雇用することを小泉孝太郎がすぐに言えずに、あとから自分で知った常盤貴子にそれとなく言わせて、しかも常盤貴子の方がへりくだったりなんかして都合良い展開がいかにも日本的だったけど、アメリカ版は「なんで言わなかったの!」の詰めよるアリシアの気の強さ。でももう、その時点でちょっとやそっとでは負けない無敵感がすごい。

 

アメリカの「なんでも思ったことを言い合う」という風土・気質のせいか、アリシアと義母の嫁姑バトルもかなりドライに言い合っていて、決して仲がいいわけじゃないしお互い好きじゃないのに日本のような陰湿さがないのよね。本音と建て前がなくてうらやましいわ。

 

日本版では(この時点で)まだ1話しか放送していないのでわからないけど、常盤貴子が1人で抱え込んで、姑を寄せ付けない雰囲気が日本的な嫁姑感でしたね。こういうところでも日米の違いがあっておもしろい。

 

日本版のいいところは、日本人特有の情緒的な部分というか、心情の細やかさや共感する部分をきちんと表現しているところ。アメリカ版はやたらアリシアがいろんな人と敵対するので(周りがなにかと目の敵にしているんだけど)、情緒よりも戦いを見ているようなのよ。

 

前回の記事でも書いた、浜口の部屋で語るシーン、

 

www.ankoalive.com

 

ああいう持っていき方や言い回しは、アメリカ版にはないいかにも日本的で情緒的な部分だと思うし、日本人である私は心にぐっとくる好きなシーンでもあるけれど、「いいえ、でも強くなれるわ」というくだり、同じセリフのアメリカ版はあまり共感できなかった。そこまでいくのにあわただしく、とにかく展開が早いので共感している暇がないっていうのが正直なところ。


ちなみに、アメリカ版のセリフはこんな感じ。

※吹き替え字幕から引用

「シャワーを浴びて休む。テレビは付けないで。本は好き? 用意するわ。小説がいいわね。そんな気になれないだろうけど、おしゃれしてメイクするの。無理にでもね。裁判じゃなく自分のために。今大事なのは形からキチッとすること」

「それで楽になる?」

「いいえ。でも、強くなれるわ」

 

アメリカ人的リフレッシュ方法は日本とは違って能動的なのねと思ったところでもあるんだけど、一方的にまくし立てるような言い方だったので、感情移入はしにくい。ここも日本版の叙情的な要素が際立っていたというか、国が違うとこうも感性が違うのかと思ったシーンでもありました。日本人向けに共感できるように脚本や演出を変えて正解よ。

 

こういう比較でみてみると、日本版がいかにお国柄に合うように綿密に作っているかがよくわかりますね。あらためてドラマを制作しているチームの皆さん、すごいです。

 

 

アメリカの女性軽視っぷりはけっこう根深い

なんとなく、欧米人って人前でキスしたりスキンシップするのが当たり前だと思っているし、日本人からしたらちょっとうらやましいなと思う部分もありますが、「自由の国アメリカ」はあくまでもイメージで、人種、性別もろもろの差別意識の根深さが、アメリカ版のセリフや演技に巧みに組み込まれています。アメリカは日本よりも女性の社会進出が進んでいるかと思いきやそんなことはなくて、まだまだ男性社会優位の中で戦っているんです。

 

アリシアの障壁になりそうなダイアンも、経営者だからだと思うけど女装している男性のような思考や言動をする。女性が偉くなるのはどの国でも大変なのは同じようですし、男性も支配的な描写が多く、偉くなればなるほど女性蔑視の描写になってるわけですよ。日本版の武田鉄矢も胸くそ悪かったけど、それ以上に胸くそ悪かったわ。

 

そういう世の中だから、アリシアという女性のヒロインを立ち上がらせ、評決場面や負けと思ったらどんでん返しでスカッとさせる、というのがアメリカ版の醍醐味であり、訴訟大国アメリカ、弱者の心情を代弁しているんだなーと思いながら見ていました。


アメリカ版と日本版、それぞれの良さがありつつも、今後の日本版に期待したいことがあるとしたら、常盤貴子、もっと吠えろ!怒れ! といいたい。

 

日本人女性だからって穏便でおとなしくしている必要はない。ここはひとつ、だれもが思うような日本的貞淑な主婦像なんか蹴散らして、ここだけでもアメリカンナイズしていいんじゃないかと思いますけど、どうでしょ。

 

 

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