anko alive

おほほほ、ここはドラマ・映画の感想を語るための私の城♪ 

【俺のスカート、どこ行った】7話感想ネタバレ:一貫してクソ父親を演じきった板尾創路劇場

f:id:ankoalive:20190423113337j:plain

俺のスカート、どこ行った?|日本テレビ

 


ちょっと前回くらいまでストーリーとしては中だるみっぽくなって、ああ、乃木坂ファンサービス回だったのかなと理解。民放ドラマはテレビ局、スポンサー、芸能事務所諸々、あっちもこっちも立たせなきゃいけないっていうしがらみがあるからたいへんよねぇ。

 

だけど、そんな中でも斬新さとテンポの良さ、コメディとシリアスの緩急は相変わらずおもしろい。職員室の絡みも毎回楽しみだし。で、今回の7話、不覚にも涙してしまった、という感想書きます。

 

以下、ネタバレ含みます。見ていない方はご注意を!

 

 

 

明智の退学理由と真相

前回から明智の父親(板尾創路)登場で、かなりワケありなことはひと目でわかったんだけど、わかりやすすぎるくらいとことん悪役演技とDV描写が、後半の展開でやられたらやり返すではない、まさかの角度でカタルシスがきたわ~。

 

明智が屈折していった理由、父親は元々経営者で、そのときの部下だった人からサッカーを教わり、その人との信頼関係もあった(その人が教えてくれたプレーをするうえで「結局は自分でなんとかするしかないんだよ」という言葉が明智自身への呪いであり、実際に生き抜くための力になっていたんだけど)。父親が(社員に裏切られたっぽい)脱税で捕まり、それをきっかけに父親からは執拗なDVを受け続け、母親も自分を置いて出て行ってしまう。信頼していた大人たち全員に裏切られたことは明智にとって深い傷になったってことなんだよね。明智も裏切られてたけど、その親も裏切られてたという連鎖もちゃんと描いていたのもいい。

 

だから、サッカーを辞めたことも、学校に禁止されていたバイトをしていたことも、ひとり暮らしもそういう理由からだった。これはなんとなく予想ついてたし、ああここで原田先生を交えての親子対決になるんだろうなと思っていたけど、これまでのドラマ展開予想を覆されたわ。

 

 

ありがちな親子対決展開ではなかった

ここで、原田先生が考えたのは、ボクシングという「スポーツ」の体で戦わせるわけよ。勝ち負けの賭けで決着を付ける。親子ともども暴力が好きなんだからいいと思わない?という提案。だけど、原田先生が明智に言いたかったのは、暴力という点では「お前も父親と一緒なんだよ」ということ。父親は肉体的暴力、明智は若林に対する精神的暴力。

 

父親を憎んで同じになりたくないと思っている明智が、「あいつと同じなのかな?」と気付かされるわけよね。昔のドラマだったら、ここで親子で殴り合いをしても殴れず、ボコボコになった最後に殴り返し、「おまえも大人になったな」的な許しの展開がよくありがち。

 

途中までそうなるのかなと思ったけど、父親と同じ暴力を振るうことは嫌いな父親と同じになるという理由から、負けを選ぶ明智。そして、同時にここで自分がいじめていた若林の気持ちをはじめて理解するのよ。よかったよ、昔のドラマみたいじゃなくて。

 

イジメの連鎖はこういうふうに現れることを、公開親子対決で授業する原田先生。いじめっ子な明智の父親がどういう人間で、どういう背景があったか、明智の決断が他の生徒たちにとってどう見えたのか、いじめられていた若林にとっても、イジメの根源が親子関係と知って、果たして許せるものなのか、めちゃくちゃ有益な課外授業じゃん。『3年A組』もそうだったけど、ここまで体張らないとわかりにくい世の中になったということでもあるのかな、なんて。

 

ここできれいに終わるのかと思ったらそうはさせない。非情にも殴り続け、つばを吐きかける父親。どんどんクソな父親になっていく板尾さん、こういう役、ホント天下一品です。古田さんの強烈キャラにも負けないヒール役。「板尾創路劇場」、それとも「古田新太vs板尾創路対決」だったといっても過言ではない回だったわ! 

 

 

ゲイに対するステレオタイプに真っ向から否定する

親子対決は原田先生レフリーにより引き分け、今度は父親と原田先生の2回戦となるんだけど、試合前の口論がね、父親通して世間のゲイに対するステレオタイプを描いていたわよね。

 

ゲイだから目線が違う、感覚が違う、特別なことを求める

 

もうさ、世の中的にゲイといったらみんなマツコ・デラックスとかミッツ・マングローブみたいだと思っているってことじゃない? 別に彼?彼女?たちは女装して個人の意見を言っているだけなのに、なんかしらないけど、特別なことを言っているように聞こえるフシがあるじゃない。

 

そりゃあ、生まれ持ったジェンダーを超えることを選んだ人たちだもの。目線も感覚もある意味自己超越するさ。その選択をした責任と自信、自己肯定感があるから言葉に説得力があるんじゃないかしら。そして、超越できなかったときの弱さも知っている。だから強い。それだけのことじゃない? なのに、ステレオタイプな見方が多いことは、繰り返し原田先生が劇中で語るし、そのくらい私たちは無意識的に偏見が多いということでもあるわけで、このドラマはさりげなくチクチク刺してくれるところもいい。

 

さらに、すごいと思ったのが、どんなに原田先生が偏見に対して吠えても、最後まで偏見のままの父親描写ってとこ。こういうことだよ。そういうのをわかったふうにしないところも、このドラマのいいところ。

 

世間の偏見や思い込みなんてそうそう簡単に変わらない。学校の教師たちや生徒がそうだったように、ひたすらありのままの原田先生で居続けるしかない。だからって、偏見がなくなるかといったらそんなことはなくて、周りも「そこにいる」とただ認めていくしかないんだよね。その辺がけっこうリアリティある気がする。あんなに堂々と女装して学校にいられたら、最初は違和感あっても認めていくしかない。認めないかぎりはずっと自分の「違和感」と対峙するしかないし、それに支配されるんだよ。

 

父親が不意打ちをしようとするシーン、これを避ける原田先生のキレのよさったら! さすが舞台で人との距離感とか空気感を鍛えていらっしゃるだけあるわ。とにかく見せ方がうまい。古田さんはどうみてもスポーツ万能に見えないし、あの体型からしてたぶんスポーツはやってないと思われますが、舞台で殺陣や型とかたくさんやっているだけあって、重心の置き方がうまい。別にスポーツに詳しくもなんともない素人の私が見ていて「かっこいい」と感じられるくらいだもの。役者さんってすごい~。ますます古田さん好きになったわ。

 

あと、原田先生のアッパーパンチシーンで、古田さんの衣装、脇汗シミにならないようにパッドが縫い付けられていたのを見逃しませんことよ。古田さんの年齢で激しい動きをしたら汗すごそうだもんね。

 

で、ここで原田先生はKOで勝って、明智は無事学校戻れる、ストーリーも円満に終わるのかなと思いきや、まだひと展開。そうは終わらない。最後の最後の敵は明智自身の「人を信じられない」心の問題。周りの大人たちに裏切られ、頼ってもどうせ裏切られるという傷。人に対する不信感はそうは簡単に回復しない。

 

そのために原田先生が体を張って教えるんだけど、そのおかげか、原田先生を通して大人を信じようかな、くらいには回復したであろう明智。うん、全回復しなくていいんだよ。ちょっとは疑う余地(信じることや許すこと)を残しておかないとね。ここのシーンは、親子対決して勝ったとしても満たされる部分ではないし、明智のコアな部分に触れるシーン。

 

原田先生が体を張って殴らせ、絶対に手を出さないという、自ら約束を課すシーンは名場面だった。父親への恨みの気持ち以上に「信用できない」という傷ついた自分、誰かを信じたくても信じられなくなった自分の気持ちが、なんらかのかたちで昇華されないと前に進めないわけよね。そこまでして明智を受け入れようとした大人がいなかったのだし、信用できないから自力でなんとかしようと孤独だった明智。

 

1話で「敬意を持てたら名前を呼びますね」と明智が不信感丸出しだったのは、原田も含めた大人へ対する不信感だった明智の心がやっと解けたとき、原田先生を「のぶお」と呼ぶ。原田先生がリスペクトを受けたその瞬間、グッと泣いてしまった。孤独と不信で張り詰めた心が解けるって並大抵のことじゃないもの。そういう感情を瑞々しく演じた永瀬くんアッパレよ。

 

それにしても、若林くんよ、(かわいくて好きだけど)あんた人がよすぎる。もう明智を許すの? 明智ですら父親をそう簡単に許せていないのに、親子と同級生は許しの許容量が違うのかい? やっぱり、1話で空飛んで自分の中の境界線を超えたことで、一気に許容量が増えて物事俯瞰してみられるようになったのかね? 原田先生もそうだけど、自分の中の殻を破ることができた人間は強くなるのか。そういう意味では、今回の明智も「信じられない」という殻を少し超えたことで強くなったのかな。

 

最後、明智がお金のために働かされていた仕事は、父親によって辞めることができたものの、最後の給料は少しだけ持っていかれるというシーンもいい。父親が性根入れ替えたわけでもなく、善人でないという描写。これは演出かどうかわからないけど、あんなにクソな父親であっても、腕にパワーストーンぽいものを巻いているあたりも、何かを信じたいと思う父親の気持ちの表れかな、なんて見ていましたね。

 

気持ちを入れ替えて真面目に働いて一緒に暮らそう的な、昔の安っぽいドラマ展開じゃないっていうのがいいじゃないですか。「結局は自分でなんとかするしかない」ということが前向きな方向に変わって、明智の精神的成長が見えた回。おもしろかったわ。

 

いやー、明智役・永瀬くんの闇落ちから心が解ける演技、特にあの暗い目つき、なかなかいい(憂いのある目つきは共演の桐山漣もすごくいいからね)。もっと演技勉強して磨いてくんないかな。それに、原田先生を殴ったときのパンチのキレ。あれはかなり練習したっぽいし運動能力のポテンシャルもあるとみた。本人次第だけど、演技と運動、覚醒したら第2の山崎賢人くらいにはなれそうな気がするよ。V6岡田パイセン、どうか指導して育ててくれ!

 

 

原田先生の「やりたいこと一覧」

完全に原田先生の命が短い(もしくは病気療養を言い渡されている)ことの伏線だし、娘もそれをわかってる感じ。自分の寿命を知って、残りの人生をどうするか的な映画やドラマはいっぱいあるけど、このドラマはそこを主軸に持ってきていないんですよね。主人公ではあるけれど、あくまでも教師であることが中心。残りの回でそのあたりがクローズアップされそうだけど、どういうオチにもっていくんだろう? 死んだら『3年A組』と同じじゃん。それはなしの方向で。

 

ノートに書かれたやりたいこと一覧はかなりたくさんあって、たぶん教師になることも、オネエになることもたくさんあるリストのうちの一つ。7話で出てきたボクシングもやりたいことのリストに書かれていて、今回は明智のおかげで夢が叶ったのでそこに「済」ハンコを押す。原田先生の中では女装だとかゲイだということが特別なのではなくて、あくまでもやりたいことの一部なんだろうし、やりたいことをやる人生を説いて終了というような、予想通りなラストだけは勘弁してほしいかな。こちらの期待を裏切ったオチ希望です。

 

おしまい。 

スポンサーリンク