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【密着ドキュメント~片付け 人生をやり直す人々】感想:こんまり流の本質をみた気がする

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Saundi Wilson | Flickr

 

 

やはり、映像の持つ力はすごい。昔バラエティで取り上げていたのとはまったく別物で、もはや片付けセラピーになってるなと感じたこの番組、NHKスペシャル『密着ドキュメント~片付け 人生をやり直す人々』を視聴しました。いろいろ感じることがあったので、番組を見た感想を書きたいと思います。(6,000字強あります。長いです)

 

 

昔と今では「こんまり流」のメディアの取り上げ方が変わった

日本でもかつてはこんまりさんこと近藤麻理恵さんの本は、今から10年前くらいに著書『人生がときめく片づけの魔法』が爆発的に売れてたし(私も読みました)、多数のバラエティー番組でこんまりさんを取り上げて、テレビで片付けの紹介をされていました。バラエティーなので片付けをするのは汚部屋自慢のタレントだったり、服のたたみ方とか収納術ばかり特化していたかな。

 

 

それはそれで「あーすごいね」で終わってたし、あまり片付けた本人の心情には触れず、片付け技術を断片的にしか紹介していないから、本質的なことが理解できなかったという印象。テレビ的にも便利とかお得とかそういうネタがウケるからそういう取り上げ方になったんだろうと思うし、民放ではそうするしかなかったんでしょう。

 

その当時の番組を見ていたからこそ、今回、NHKスペシャルでドキュメンタリーとして、しかも片付けの技術面ではなくて、心情にスポットを当てて取り上げたことにまず驚き。なんで今頃?と思ったし、この手のものはすでにNetflixで先に人気出ているからってことかしら?なーんて勘ぐったりもする。いいんだけどさ。日本人バージョン見たかったし。

 

元々個人を追いかけたりドキュメント手法はNHKお得意だし、NHKは近年ドキュメントものに味をしめたようで、素人だけがいる特定の場所を追っかける『72h』『ノーナレ』のほかにまた『街録』という素人追っかけ番組増えたし。そのくらい、有名な成功者の話よりも、今そこにいる素人のドキュメントを垣間見た方がおもしろいし、ウケる時代になったといえるのかもしれません。

 

実際に今回の番組を見て、こんまり流の本質を垣間見た気がしましたね。私も本を読んで自分なりに片付けをしてみたことがあったんですけど、上っ面だけなぞった感じで長く続かなかった経験があります。思い返すと、本に書いてある文章だけでは、「ときめく」という感覚、がどういうことか理解できていなかったんですよね。

 

こんまり流が流行り始めた頃を知っていて、本も読んで実践もしたけど続かなかったという私のような人にとっては、今回の番組は目から鱗というか、いかに本の内容を理解しきれていなかったかがわかったし、こんまり流の片付けが、技術だけではなくこれほどまで自己の内面と向き合う本質的なことなのかと、衝撃を受けた人も多かったんじゃないでしょうか。

 

 

捨てられない2つの理由

こんまりさんは、捨てられない理由には2つあるといいます。それは、過去への執着と未来への不安。ものすごいシンプルな理由だけど、感情的な執着ほど思いのほか大きくて強いものはないんだと、登場した女性たちのドキュメントを見てすごく感じました。

 

番組では、1人目に登場したるみさんという女性、いくら洋服をなで回してもときめく感覚がわからないというシーンがあったんですよね。あれが一般女性が感じるリアルだと思ったし、実際、本だけでは理解しにくい点でもあったので、よくぞ出演してくれたわと感謝したいくらい映像のインパクトが大きかった。

 

そこでちゃんと番組ではこんまりさんの補足説明で語られます。「ときめきとはどういうものかわからない」ということに対して、「頭ではなく体の感覚で選ぶこと。触ってうれしいものを感覚で選ぶ」というこんまりさん。

 

これは本にも書いていたし情報として知っていること。なのにできない。そういうときは、わかるまで繰り返し繰り返し触ることがポイントなんだそうだ。

 

こんまり流認定コンサルタントが家までやってきて、サポートの様子を映していたのも、昔のメディアにはない取り上げ方だったし(昔はコンサルタントいなかったし)、本を読んでもどうにもならなかったこういう人のことを知りたかったのよ!と思ったんですよね。

 

ずっとわからなくて悩む女性にさりげなく「これ残したらめちゃくちゃ気分上がるって感じします?」とか、感情がわいてきたところに「いったん横に置いておいていいよ」とフォローを入れる。こういうサポート、自分で片付けできなかった人には実は必要だわー。

 

今回登場した女性たちに共通したのが、洋服は過去への執着がみごとなまでに如実に現れているということ。若い頃の楽しかった思い出、着ていて褒められた服、あるいは、引きこもっていたときにずっと着ていた服とか、なにかしらの強い思い出がそこにあるから手放せない。それをそこに握りしめておきたいという心情から、溜め込むことに繋がるんだなと客観的にみえましたよね。

 

コンサルタントが「単純に好きという洋服だけを残して欲しい」というと、「好きっていうものを残せばいいという言葉は何百回も聞いているし読んでいるけど、全然好きじゃないものも残している」というるみさん。ほらやっぱり! 私を含め、こういう人だらけなんだよ、現実は!と思ったわ。

 

コンサルタントの方は、「過去の自分と今とを比べていて、過去の方が良かったという気持ちのほうがものすごく強くなっている時かなと感じたんです」と伝え、結局、そのときは捨てるかどうかの判断がつかずに後日に持ち越し。それでも2袋分は処分していましたけど。

 

るみさんは結婚して、子どもが生まれて、一見幸せそうに見えるけど、あの部屋の状況からすると、子どもの教育のことや、周りの目を気にして生活水準以上のもの求めている気持ちが強いようにも見えてしまった。

 

今あるものや今いる自分を見ていなくて、モノで装飾してしまえば周りと合わせられる、みたいな、焦りに似たものからどんどんモノが増えていったのではないか。それによって経済的にも圧迫することになり、その不安から逃れられない。そんなふうに勝手に推測してしまったけれど、いずれにしても「今」を幸せに感じていないことは確かかなと思いましたよね。

 

この10年のあいだに、こんまりさんがコンサルタント養成をしていたことにもびっくりしたけど、やはり、出演女性たちのように本だけ読んでもどうにもならない人のほうが多いだろうし、あれだけ人の内面に入っていく作業は、たった一人では辛すぎる。特に、過酷な過去を持った人には。

 

自分の都合のいいように解釈したり、人によっては見ないようにして逃げて、本当の意味での片付けにならない人もいると思う。そのくらい、こんまり流片付けは、単なる片付けのレベルではなかったんだなということに、改めて驚きました。

 

他の女性たちも、引きこもりや父親の暴力など過酷な過去を抱えていて、それらが「今」片付けられない現実に繋がっていることを、まざまざと映像で見せる説得力。ということは、片付けが進まないのにはなにか逃げたいものがあるってことだし、モノを持つ=過去の栄光や輝きにすがってしまうほど、今は幸せを感じていないってこと。自分にあてはめながら考えさせられました。

 

すごいなと思ったのが、こんまり流コンサルタントのみなさん。それぞれ3名の方がいらっしゃいましたけど、決して否定しないんですよね。どんなに端から見てもゴミみたいなものでも、本人がときめくかどうかの選択をするのを待つのみ。人によって、洋服の片付けでつまずく人もいれば、小物の片付けでつまずいたり、必ず感情とぶつかる部分や消化しきれない思いがあるので、そこはそっと寄り添って尊重しているんですよ。

 

尊重しながら、さりげなく提案をしてみて、それを実践してもらってその人なりの昇華へもっていく。コンサルタントというよりカウンセラーでしたね。これは本読んだだけではこうはならないと思ったわ。

 

 

過去にカタを付ける

捨てる、というと簡単に聞こえるけれど、こんまり流片付けをみていると、ただ捨てるだけではなく、自分の記憶や感情の整理もともなうものなので、その人にとって大きな転換になるということは見ていてわかりやすかったですね。なんでもすぐに捨てればいいというものでもなくて、自分にとっての手放し時があるんだってこと。

 

独身の頃のキラキラした感情を思い起こさせる物もあれば、引きこもっていたときや暴力を受けていたときに感じていたものを思い起こさせる物。どちらも、その人の今を形成した、ある意味大切な自分の一部。だからこそ握りしめて大事にしたいという気持ち。これはポジティブ・ネガティブ関係ないんだなと思いましたよね。

 

2番目に登場した女性は、引きこもり時代のバイト給料明細書を大事に持っているんだけど、正直、持っていてもしょうがないものではあるわけよね。お金はすでに使われてて存在しないだろうし、あきらかにゴミ同然のものだと思う。

 

でも、彼女にとっては、引きこもり時代を支えた証で、辛くても頑張った自分を証明するものでもあったわけだ。それをみると自分があのときよくがんばったなって思えるし、それがあっての今の自分なわけだから、もはや自分の一部のようなもの。

 

だけど、思いが強ければ強いほど、それらは「今」を圧迫していくのも現実。そこにどう自分が向き合うかということが問われるし、こんまり流片付けのいいところは、そういう気持ちを大事にするところが素敵でしたね。

 

捨てるにしても捨てないにしても、かわいくラッピングすることを推奨するんですよ。これなら、ゴミのように取っておくのではなくて、大切な物として扱うことができるし、そのことでいつか本当に手放すことができるかもしれない。できなくたってかわいくして宝物のようにとっておけばいい。それだけで「ときめき」という点では自分なりに納得できる。捨てるだけがカタをつけることではないというのがいい。要は、きちんとそのものを見て、感情を感じて、そのときの感情に応じて決めればいい。

 

コンサルタントの方も「残しておきたいなら明るく素敵に残したほうがいい。戒めはオススメしない」と断言。戒めはときめきじゃないし、気分下がっちゃう。

 

だんだんに女性たちの変化が現れていく。「物を片付けているんだけど、記憶を片付けている」「今だけを見られる技が身についた」「つらかったのは今の私じゃなくて、何年か前、その日その時の私がつらかっただけで、今はつらくない」と。

 

ここできっとパラドックスが起こるんだと思います。捨てる捨てないどっちでもいいんだけど、捨てられない過去をしっかり見るプロセスが大事で、そこを通ることでいろんな意味で手放せるんじゃないかと。

 

こういうのは、本を読んでいるだけはわからなかったことだし、本を読んだだけの頃に比べて、頭だけの理解ではなく、映像を通して彼女たちが身近に感じられることによって、自分にもできるのではないかという勇気がわいてきたんですよね。

まずは一人でもできるところからやってみようと思います。

 

 

大切なのは今

世に出ている片付け、収納術がまったく活かされない、活かすことができないのは、モノと向き合う気持ちに蓋をして逃げ続けている、つまり、現実をよくみる習慣がないから!(ADHDの場合は別だと思うけど) そこをちゃんとやらないかぎりは、どんな収納術をもってしてもこの先ずっと活かされることはないんだなと、自分なりに合点がいきました。

 

あらゆる片付け法に失敗した人は、本よりもこの映像かNetflixのこんまりコンテンツを見た方がいいと思いましたね。片付けをすれば幸せになれるとか短絡的に考えるのではなくて、片付けによって自分自身を整理できてはじめて、自分を再生することができるんだと思います。

 

私自身はというと、わりとモノをすぐ捨てる派。でも、そこには「ときめき」とか考えずに、ただいるかいらないかだけで捨てる。そのくせ、ちょっとした小物とか、場所によって片付けられないという変なタイプ。

 

以前、こんまり本を読んで片付けしたとき、ときめき基準で選別していたら、あまりにもときめかないものばかりで、洋服を3分の2も捨てることに! 着るものが極端になくなって、それ以来、自分の極端な片付けが怖くなったという経験があります。そのくらい安物買いという妥協の中でずっと生きていたってこと。それが今も続いている現実にあらためて気付かされて、またしてもショックというか唖然というか、なにやってんだ感しかない・・・。

 

片付けができているようでいて、ただ「ゴミ」とわかるものを定期的に捨てているだけの自分。本質的なところでは、物に対して心で取捨選択できていないから、未だに幸せを感じられていないんだなと、番組を見て気付かされました。

 

今の私に必要なこと。片付けできていない箇所はこれからやるとして、これから購入する物に関しては「ときめき」を基準に購入すること。貧乏だからって安易に安物ばかり選ばない、もしくはやむなく安物を選ぶにしても、その中からできるだけ「ときめくもの」を厳選して選ぶこと。そう考えると、私のほしいものは高いものだらけなんだよなー。「ときめく」を取り入れるのならば、ちょっとずつでもグレードを上げていくしかないし、手に入れるための資金、お金をどうにかすることも考えねばいかーん! 片付けながら考えよう。

 


最後に

このこんまり流片付けはやっぱり女性メインの考え方なんだなということ。片付けメソッド系全体にいえることだけど、家の片付けって、家族がいたら家族でするんではないのかなと思うのね。だけど、なぜ主婦というだけで女性メインだろうね? 番組では夫さんもちょこっと出てきてはいたし、映ってないだけで、もしかしたら片付け協力もしたかもしれないけど、女性側のコアな部分の心の片付けが済んだら、家族でやりましょう的なところがあったらいいのになと思ったし、夫さんの片付け風景も見たかったわ。

 

番組のラストで、最初に登場したるみさんの部屋が3年ぶりに窓が開けられて、床も見えてきたんだけど、まだまだ片付けが終わっていないというところで終了してて、希望がある終わり方と同時に、この方の闇の深さをうかがい知った気がしましたよ。1年立っても終わってなさそう。できれば、るみさんのその後を追いかけていただきたい、NHKさん。でも、こういうのはひとそれぞれペースがあるんだなということもわかったので、参考にはなったな。

 

こんまり流片付けは今のところ女性メインのようですが、最近はセミナーなどに男性参加者も増えているそうなので、将来的には男性向けこんまり流メソッドというのも出てくれたらなーと切に願っています。家の中で、生活に密着する部分は女性主体で片付けできたとしても、夫のものについてはケンカになるので片付けできないし、片付けると怒る。だったらいつでもきれいにしてくれよ!と思うのに、物が溢れていつまでも片付けないで占領してくる。ホント、悩みの種なのよ。こういう人向けにぜひメソッドを開発してほしい~~~。

 

でも、もしかしたら、番組登場した女性たち同様、なんらかの複雑な心情があって捨てられないのだとしたら・・・と思うと、夫の気持ちを無下にはできない。言葉には出さないけど、本当は未来への不安でいっぱいなのかもしれないと思うと、やはり、私自身の片付けからはじめるしかないなと思うのでした。