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【MIU404】2話感想ネタバレ:ラスト3分の「ごめんね」に涙が止まらない松下洸平劇場

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Vincent Van den Storme | Flickr

 

あああ~~~もお~~やられた。やっぱり野木×塚田タッグ作品最高すぎる。とくに今回の2話はまるでかつてお二人が作ったドラマ『アンナチュラル』を彷彿とさせる展開で、涙なくしてみれなかったわよ。2回見て2回とも泣けたーーーー!

 

以下、ネタバレありますので、見ていない方はご注意を!!

 

 

 

松下洸平劇場

朝ドラ『スカーレット』で人気を博した松下洸平さんが満を持してのゲスト登場とあって、今回主演の星野源、綾野剛が正直霞んでしまうほどだったわ。朝ドラでのいい人キャラから一転、闇を抱えた役というギャップが、朝ドラからのイメージを取り込みつつ、相乗効果になって役どころとしてもイメージを壊すところが巧い。

2話のプロットは、『アンナチュラル』でいうところの5話に近いのかな。このときも朝ドラ『ひよっこ』主人公みね子の同級生でいい味出していた泉澤祐希くん主演エピソードで、いい人から闇落ちする展開に度肝を抜かれた、あんな感じよね。


松下洸平さん演ずる加々見は最初犯人かと思いきや、人質・田辺夫婦との会話を積み重ねながら、人質夫婦の抱える「贖罪」がある種のバイアスになって、凶器を持っているけど加々見は犯人じゃないのでは? と思わされてしまう。これは作り手の思うツボに完全にはまってた。

虐待親に謝ってもらいたい加々見と、息子を信じてあげられず自死されてしまい、できることなら息子に謝りたい田辺夫婦の奇妙な交流。ここでも鶴見辰吾さんの演技がピッカピカに光っていたわー。チコちゃん再現V俳優じゃないのよ!

田辺夫婦の後悔と贖罪、「信じたい」気持ちが加々見の行動を助長させていることにもなるんだけど、たとえ加々見が間違っていたとしても、それでも「信じたい」気持ちに勝ってしまったんだろうな。夫婦もまた「信じる」部分を加々見を通してやり直そうとしている。

道中、加々見の身の上話を入れてくるあたり、うまいなぁと思った。あれって、完全にミスリードを誘う部分だし、田辺夫婦も同情して信じ込む=視聴者も犯人じゃないと思ってしまう場面。

ドラマ後半に向かうにつれ、捜査が進み、あきらかに加々見が犯人であることがはっきりする。田辺夫婦は実の息子への贖罪の気持ちから、彼を逃し信じようとする。これが最後の最後、裏切られることになるのに涙腺崩壊の伏線になるとは思わなんだよ。

加々見は実父からの虐待が根っこにあり、勤め先の常務から同じような態度でねじ伏せられたことをきっかけに思わず刺して殺してしまった。あそこのシーンはあまりにも突発的なんだけど、普段真面目な人だからこその思わぬ地雷が暴発した時の破壊力の強さを物語っていたわよね。

今度は実の父親を殺して自分も死のうと実家へ向かうんだけど、すでに父親は事故で他界しており、会うことすら叶わない。

そこに伊吹と志摩が追いつき捕まるんだけど、ラスト5分の恨みつらみがなんとも苦しくて辛い。何度も何度も父親の写真を包丁で刺し、

「自分の息子が人を殺したことも知らずに、何の復讐にもならないよ! まだ1度も謝ってもらってない!」

ここの松下洸平さんの渾身の演技が鬼気迫っていてすごかったし、見ているこちらもえぐられるようだった。野木さんが描く父子像って、母と子以上に重々しく根深く描いているような気がする。

父と息子の断絶は『アンナチュラル』でもたびたび描いていたし、その関係性が不和であればあるほど、子ども側の人生に大きな影響を及ぼしていることを今回のドラマでも暗示していて、なかなかに辛い展開。しかも「また」親子関係が報われないんだよ。それが現実だよといわんばかりに辛い終わり方で余韻を残す。

その余韻が、見る側にその後の想像や深く考えるきっかけになるのが、いつもながら野木さん脚本のいいところなのよねぇ。

で、そこへ伊吹が「どんなに相手がクズでもどんなにムカついても殺したほうが負けだ」と諭しつつ、無実でいてほしかったとつぶやくところは、伊吹の「人を信じる気持ち」が折られた無情さを描いていたような気がするし、普段から人を信じないと言っている志摩も、1話でみた直感的で破天荒な伊吹の、成長の一端を見たのではないか(1話では伊吹の監視役になっているふうだし)。さらには「殺したほうが負け」という言葉を聞く志摩の意味ありげな表情。彼の過去に何があったのか気になって仕方がない。演出細かいよーーー

2話は完全に松下洸平劇場で、一見、志摩&伊吹の存在は希薄に見えるんだけど、加々見を追いかけながらも、2人が少しずつ化学反応していく過程もすごくいい。とくに志摩の過去にまつわるキーワード「相棒を殺した」「元に戻れない」に関連するセリフやカット割りが絶妙。ゲストが目立つほど、実は二人の輪郭が徐々に際立つ仕組みになっている。もう、「巧い!」という言葉しか出てこないよ。

 

「ごめんね」と富士山と米津玄師

ラスト3分の演出があまりにも計算尽くされていてもうここでやられたわよ。まず、人質になった夫婦が捕まった加々見に必死に声をかけるシーン。田辺夫婦はすで罪を犯している加々見をなお信じようとするわけよ。それは夫婦の贖罪がそうさせるんだろうけど、加々見が犯人であってもなくても、何があっても「信じたい」、息子にしてやりたかった「信頼」を投げかけたかったんだよね。

最後まで付き合う約束を果たせず、思わず夫婦の口から「ごめんね」と出た言葉が響き渡る。それは加々見が父親からほしかった言葉だったわけで、こだまする「ごめんね」の背景に美しい富士山が悠然と映し出される。

謝られたかった加々見と、謝りたかった田辺夫婦が仮初めの親子になったかのように、この奇妙な出会いによって互いの感情が溶けていく。親子でもなんでもない、そんなことはわかっているのよ。こんなことをしても過去は戻ってこない。過ちを犯す前には戻れない。だから疑うよりも最初から信じたいと強く思う気持ち。

「ごめんね」なんて実の父親から聞けていないのに、謝ってもらいたい気持ちが少しだけ叶ったような、擬似的な瞬間だったのだろうけど、確実に加々見を正気に戻した言葉。これって、誰もが意外と言えない言葉、言えなかった言葉なのだろうな。

そこに、米津玄師の曲が絶妙なタイミングで流れる。不穏なメロディーラインからのサビ前の一瞬のブレイク、富士山を眺めながらふと我に返る加々見。これらが合わさるシーンで涙ボロボロボロボロ~~~~~!

巧い、巧すぎる!!! 

正直、今回の米津玄師の曲はアップテンポで劇中にいまいち絡みづらいんじゃないかと思っていたわけよ。『アンナチュラル』のときの『Lemon』のサビ入りや、『ノーサイドゲーム』の『馬と鹿』の印象があまりにも絶妙だったのでそれを期待してた。

でも、その心配は御無用だったわ。サビ前のブレイクの瞬間と演出で見事にハマってた!
 
無音シーンの後、加々見が「ごめんね」の言葉で我に返ったような、憑き物が落ちたような表情をして田辺夫婦に一礼をするシーンまでのくだり、演出お見事! 演者も素晴らしかったけど、編集したスタッフに拍手! ゾクゾクしてしまったわ。

 

人は信じたいものを信じる

中盤の志摩のセリフが、2話エピソードの肝になっているわよね。「人は信じたいものを信じる」。加々見は「俺はやっていない」ということを信じたかったし、田辺夫婦はそういう加々見を自分の息子に見立てて何があっても信じようとした。どちらも見事に「信じたいものを信じている」状態。

あの志摩のセリフはなんとも意味ありげで、過去の自分に叫ぶかのような怒鳴り声。ますます志摩の過去が気になる。田辺夫婦と対面した時「本当に殺したの?」という妻のセリフの次のカットで、志摩が映し出されるカットがまた! 意味深なんだよなー。

信じるとはなんなんだろう? と改めて考えさせられる。善悪の行動規範だけを信じる対象にするのは、社会生活を営むためのものであって、本当に人を信じることなのだろうか? 「信頼関係=人との約束を守ること」が一般的な前提ではあるけれど、生まれてからずっと、すべてがすべて約束を守りきることなんて不可能だし、人は過ちも犯すものという前提の方がいらぬ期待をしなくていい。

志摩は今まさにそういうスタンスに立っているように思うし、かつては「信じたいものを信じる」側の立場で、それによって痛い目をみたのだろうなと想像してしまう。「信じる」ことは真実を曇らせることになると、2話全体の展開がそれを示した。ということはよ。今後語られるであろう志摩の過去が、ますます気になるように持っていかれてるーー。作り手側の思うツボ子よ。


野木さん脚本やっぱり好き

野木さんの取材力にはいつも感服する。警察ものドラマなんて飽きるほど出尽くしているので、最初聞いたときは「ええー警察ものかよー」と思ったものだけど、ちゃんと野木さんテイストにまとまっていてホントおもしろい。

お仕事がらみのテーマであっても、その職業を派手に持ち上げるでもなく、かといって下げすぎるわけでもない。きちんと取材をしているなというのがわかるし、現在に違和感のないように落とし込んでいるところも、毎回ながら好感が持てるのよ。

例えば、ディスりながら比較すると、ドラマ『ハケンの品格2』は、前作の大ファンだっただけに、まったくブラッシュアップされず、時代錯誤も甚だしい内容。大前春子の大岡越前ぶりにあぐらをかいて、今の時代設定とズレたまま。昭和設定をまんま持ち込んでいる感覚の古さ。


SEも前作と同じだし、大前春子の扱いが前作よりもヒドイ。ていうか、ノートパソコンのキーボードを強く叩きつけたり、チェーンソーで器物破損したりむちゃくちゃすぎる。いくらスーパー派遣でもそこまでしないでしょうよ。ファンタジーじゃないならちゃんと現在の派遣社員をリサーチせーや!と思ってしまう。中園ミホさん、『ドクターX』やりすぎてどこかおかしくなってしまった? それとも%▲※~@かしら。毒しかでないや。

そこへ来て野木さんドラマは、テレ朝系刑事モノみたいに勧善懲悪で片付けるよりも、いろんな角度からの視点を織り込んでは、善と悪がときどきひっくり返る展開を持ってきたりする。もちろん警察の仕事なので犯人を捕まえる結末はあるんだけど、そこだけに意識が集中しないし、あくまでも仕事を淡々とこなしていて、その職業者をヒーロー扱いしない。テレ朝系ドラマは絶対ヒーロー扱いなのが鼻につくのよねー。

結局のところ、民法ドラマはどこにどうお金をかけてもらえて、作り手のやる気とプロデューサー次第ということがはっきりと出るんだなーということで、今日はおしまい。

野木さん、いつかNetflixの潤沢なお金と贅沢なキャスティングとスタッフ(できたら『アンナチュラル』『MIU404』スタッフ)で、オリジナルドラマをシーズン10くらいまでの超大作、待ってますよ!

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