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ドラマ【けもなれ】1話感想:晶のつらい1時間はラスト10分のためにあったよね

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Maria Morri | Flickr

 

いよいよドラマ『けもなれ』=『獣になれない私たち』始まりましたね!! 『アンナチュラル』終了後、次はいつかといつかと待ち焦がれていた野木作品。楽しみで楽しみで普段録画視聴派の私が、めずらしくリアタイしてしまいました。

 

始まってみると、オープニングタイトルやBGMがわりとポップになので、軽めのコメディタッチなのかなと思いきや、それを裏切るようにガッキーの“キモい笑顔”がどんどんつらくなっていく。野木作品でこんなにしんどいのあったっけ?というくらい主人公を追い詰めていく。しかも実際に世間にいるようなキャラばっかりで、Twitter実況民は共感したり胸くそ悪くなる人も続出。しかも現実にありそうなリアリティ、めっちゃつらいんですけど!

 

 

以下、ネタバレを含みます。観ていない方はご注意を!

 

 

断らない人はゾンビを引き寄せる

まず感じたことは、自分の無理を聞いてくれて断らない立場とわかると、無意識的にその人を利用していく様があまりにも残酷だということ。

 

強引な要求ばかりでパワハラまがいの上司、無能な同僚や後輩、クライアントのセクハラ。理不尽でも社会人としてたち振る舞わなければと、仕事はすごくできるけれども自分を殺す晶。こんな悲壮感漂うガッキーを見たことがない。

 

悲惨な過去があるとか、頼んだことを断らない人の弱みにつけ込もうとする無神経な多数の人々の描写が、新手のホラーかと思ったわよ。人に対してきちんと自分の意見を言えないってことは、ここまで他人のわがままを助長させゾンビ化させるのかと、ドラマながら恐ろしい。晶目線でみたら、周りの人間みんなゾンビ。

 

晶のように受け入れてばかりの人間は、溜め込んで溜め込んで爆発するか、鬱になるかどっちか。晶の表情がどんどん変わり、駅のホームで死にそうな顔をするまでの「つらさの積み重ね」が絶妙すぎる。まず仕事のハードさを1時間で順序立てて、誰が見てもあれじゃあ人間おかしくなるよなーと共感するところまで持っていく。さらにはプライベートな部分もきちんと傷を仕込んで、今後それが大きく傷口が開くことを予見させている気もする。

 

登場人物の中で一見くせ者にみえない晶の彼氏・京谷。晶がなにもいわないのをいいことに晶との同居を4年も先延ばし、元カノを部屋に囲ったまま(晶もそのことは知っている風なセリフあり)。

 

京谷の母も、晶の過去を知ったことで脅威どころか「つらい過去やかわいそうな人は助けなきゃ」みたいなおせっかいおばさんにありがちなマウンティング発動、介護生活でのうっぷんを晶で晴らしているようにもみえる。なんでかんで、晶の周りの人間はほとんどが晶の断らない性格にことごとくあぐらをかいているんだよね。

 

晶の「結婚したかったこともあったけど、今は恋をしたい」というセリフに代弁されるように、晶と京谷の関係はお泊まりはするけど、もはや新鮮みを失っている関係で、京谷とは同棲するタイミングを逸したことからダラダラ関係が続いている感じなんでしょうねぇ。いい人に見えるけど実はゾンビだわよ。田中圭、ナイスキャスティング! 苦虫つぶしたような顔芸、好きです。

 

 

ラスト10分のためにあったつらい1時間

自分が言いたいことを言えずに何でも請け負いすぎてしまうことからどんどん消耗して消え入りそうな晶の本音。仕事もプライベートも心を失いそうになってはじめて自分を取り戻そうと奮起したラスト10分の爽快感たるや。ああ、野木さんやってくれた! ドラマ始まって1時間たっても暗くてつらくて2話以降見るのやめようかとも思ってしまったけど、最後の10分のためのつらい1時間だったのね。お見事すぎる。

 

冒頭の京谷が呉羽のブーツをみて「どこにアピールしてるのかな」といったセリフ。ファッションとしてはカッコイイけれども一般男性ウケはしないというのを京谷のセリフで言わせることで、晶と同じベクトルにいるという共通認識を確かめたアイテムだった。だけどそれが伏線となって、きっちり最後に回収されるあたりがもう~~~~最高。

 

これは視聴者女性も同じ気持ちだと思うけど、普段着ない洋服は「決断」だったり「変化」「武装」を意味する。特に革系の洋服は「自分の意思」とか「カッコよくありたい」いう意味合いが強いと思うのよ。

 

呉羽にとってはブランドデザイナーという肩書きからして、普段使いのファッションかもしれないけど、革の靴と鞄はあの場で他の人と結婚することを恒星に伝えようとする「決意」の象徴。呉羽にとっても変化と決断の意思の表れだったのよ。だから、晶も革ジャンと靴で武装して自分の意思をはっきりさせる決意をした。これまで続いたつらいつらい日々が、晶の決断によって吹っ飛んで、これはやられた~と思った。絶対次も観る! 

 

 

30代仕事をしている男女の結婚観

『逃げるは恥だが役に立つ』ではみくりの失業~偽装結婚を通して、自分たちなりの「結婚」という価値観を巧みに描いてくれたけど、このドラマは働き盛りのアラサー男女が、彼氏がいるのに結婚ではなく「恋をしたい」ところへのアプローチしている点も切り口も新鮮。

 

ラブかもしれないストーリーと銘打っているドラマだけど、もうどっちでもいい。そもそも30代が結婚以前の問題からスタートなんておもしろいじゃないですか。

 

“やりがい搾取”がなくなっていない現代だけれど、晶の勤めるブラック起業ごと切り崩してくれる展開があったら面白いし、晶の変化によっておのずと変わるんだろうけど、いずれにせよ、晶の周りに変化が生まれることを期待しちゃう。それが観ている側の希望になるから。

 

 

 

バカになれたら楽なのにね

今までのドラマだったら、仕事ができないとか弱い人間、いわゆる「トンデモ」キャラが有能なサポート役が脇で支えて成長する的なものが多いなかで、このドラマはトンデモな奴らの尻ぬぐいさせられているキャラを主役に持ってくる視点が面白い。

 

トンデモな奴らは見方を変えると「バカになって」楽をしているのだ。バカになれないものだけが迷惑や損を被る。だったら、自分もバカになったほうがどれだけ楽か。呉羽が軽々と「バカ」になって人に頼り、思いつきで動く。晶は苦しんで苦しんでやっと「バカになる」スタート地点に立った1話。極限までいかないと人は変わる決意をしないものよね。

 

2話以降は、晶の変貌が進んでいくんだと思うけれど、京谷の元カノ・朱里の存在が不穏すぎて、京谷と晶の関係に闇をぶち込む予感しかしない。いつ化けて出てきて京谷や晶を苦しめてくるのか楽しみよ~。

 

呉羽というトンデモな存在も、まっとうな人たちの対比であり「獣」の象徴。出会って0日で結婚とか、元彼に友達価格で専属税理士依頼するとか、結婚したのに恒星と別れる記念にベッドに誘ったり(このくだりは結婚前の同僚と寝てしまう『カルテット』を思い出す)、ぶっ飛びすぎてついていけない存在。恒星と晶が呉羽のような生き様に近づいていくんですかね。いや、そう簡単にいかないかもしれない野木作品。あー楽しい♪

 

それにしても、菊地凛子さんキレイでクール。最後までどんなふうに絡んでくるんだろう。呉羽以外のキャラはみんな変貌を遂げそうで、楽しみすぎる~~~。ああ、人妻好きの三郎だけはなんためにいるのか謎。どこかの展開で必要なのかな。

 

 

 

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