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【いだてん】27話感想:田畑政治のプレゼンテーション力は何度観ても勉強になるよ

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halfrain | Flickr

 

リアルタイムでは泣けなかったのに、2回めにゆっくり視聴してたら、めちゃくちゃ感動して涙が止まらなくなった今回の27話。まさに副題にある「替り目」を表した回でした。


以下、ネタバレを含みます。観ていない方はご注意を。

 

 

実次、死す

これほどまでに家族を思ってきた人はいただろうかというくらい、金栗家の父親代わりとして一家を支えてきた実次。いつも明るくて、どーんと構えているかと思えば、自分がどう思われても構わないという勢いで、家族のために影で人に頭を下げることができる男。

 

一家を支えながら、四三の才能を常にサポートするべく、大学に行かせ、オリンピックの資金を集める今でいうならマネージャーかプロデューサーだよね。しかも、池部家は大スポンサーだし、スヤとの縁談をまとめ、池部の家に婿に出しても同居を強制せず、事実上の単身赴任状態を取り持つべく、実次が足繁く池部の家に通い、スポンサーである幾江には頭が上がらず、どんなに嫌味を言われても相手をする。

 

劇中でも実次エピソードが回想されていたけれど、四三が活躍できたのは、ほかならぬ実次がいてこそだった。マラソンと子作り以外の四三ができない熊本生活の部分を一手にひきうけていたようなもんだ。病弱な父親に代わって家計を支えてきて、田舎の長男坊としてただただ純朴にまっすぐ生きてきた男なのよ。

 

今回、実次が講道館に道場破りに行ったエピソードがなんとも切なくてしょうがなかったの。昔(1話だっけか)、父親と四三が九州にやってきた嘉納治五郎を見に行くというエピソードがあって(実際には会えていない)、それを帰宅後に嬉しそうに話す父親をみて、当時の実次も少なからず羨ましかったんだろうと思うのね(今思えばこれは伏線だよね)。

 

四三が嘉納治五郎のいる学校に行き、のちに一緒にオリンピックを目指すことになり、四三の人生も大きく変わっていった。兄としても喜ばしいことではあったけど、四三が熊本に帰ってこないためにいつまでも尻拭いさせられるはめになって、いつまでも自分の人生を生きていたとは言い難いのよ。

 

今回はもう実次サヨナラ回ということもあって、実次は最後の最後に自分の夢を叶えに東京にやってきたのかなと思ったわ。東京での「用事」とはまさに昔、本当は自分も会いたかった嘉納治五郎に会うという夢を叶えにやってきたわけだ。人のため、家族のために生きてきた実次にとっては初めて自分のために行動したってことよ。

 

嘉納治五郎に会うという自分の夢も叶えたし、今まで四三がお世話になったお礼も言えたことは、彼にとってこのうえない至福のときだったに違いない。実次は結果的に自己犠牲の半生だったともいえるけれど、四三の存在によって自分も田舎に居ながらにして夢を見てこれたんだろうと思うと、きっと幸せだったと思いながら旅立ったんじゃないかな。

 

実次役の中村獅童、全編通してすごくよかった! 若いときはやんちゃな役柄も多かったし、実生活もわりと破天荒な人だけど、40代すぎてからそれらの味が出てきていい感じに開花した印象。今回、役に合わせたのかどうかわからないけど、そこそこ中年太りぎみで顔がぽっちゃりテカテカ、でもニカッと笑う実次がなんとも愛らしいことよ。助演男優賞差し上げたい! お疲れ様でした。

 

 

田畑政治のプレゼン力

実次もなかなかの資金調達力(というなの土下座)だったけど、それ以上に田畑政治のプレゼン力には目をみはるものがありますねぇ。ぶっちゃけ、一方的にまくしたてているところもあるんだけど、いつのまにか引き込まれているわけよ。あの水泳に対する熱意と揺るぎない自信、本当にぶれない。やはり明確な目標がある人のプレゼンは引き寄せ力が違う。

 

彼のプレゼンのすごいところは、まず、とっかかりで「日本とアメリカ、どっちが勝つと思います?」と相手が水泳を知らなくてもそんなの関係なく振っていく点。「掴み」ですね。そう聞かれたら、わからないまでもなんとなく想像してうっかりどっちか答えてしまう。

 

さらに田畑政治は「そう! ちがーう!」という矛盾した叫びを畳み掛けてくるのもさらに引き込む手段になってて、どうして相反する答えがあるのか気になるのでまた耳を傾けてしまうわけよ。そこで、プレゼンは半分成功したようなもの。そこから水泳の実績だけでなく、今後の集客や知名度アップの展望までしっかりと相手にわかるように、しかも熱く熱く、相手が呆れ返るほど伝える。

 

なんだこいつは!?って思われたらしめたもの。人間って、あまりに熱心な人が目の前にいるとよくわからなくても応援したくなるんですよ。ぜひこれからなんらかの資金調達かプレゼンを控えている方は、25話で高橋是清にプレゼンした部分も合わせて田畑政治のプレゼン力を参考にするといいですよ。すごく勉強になります。

 

今回の体協とのやりとりも、体協はお金出す気はあるけど、もっと自分を納得させろとあからさまにいうシーンもなかかな印象的。ちゃんとお金を出す人が納得すればお金は回るんですよ。いやー、私の将来の参考になったわーー。

 

占いも、ローズのママ(薬師丸ひろ子)に「30までに死ぬ」と言われて信じ込んでいたのに、忙しすぎて自分の年齢を忘れてて気づいたら32歳という展開もおもしろいし、そこから、田畑政治の中で占いは当たらないものだという前提に、すばやく切り替えたその速さも目をみはるものがあるのよ。そもそも、占いは自分になにか思い当たる節があると鵜呑みにしてしまいがちだよーというのを表していたことから、「あなた、死ぬわよ」的な占いは気をつけたほうがいいってことですよ。

 

占いを信じていたころは、そのおかげもあって血気盛んに水泳のために尽力し、資金調達もすごい勢いでやれたじゃない。人間、死ぬ気でやればなんでもできるってことでもあったけど、占いがハズレだとわかってからは、生命線を自分で書き足していたやつ。その書き方がさ、手首一周してさらに伸びてて笑った笑った。

 

実際に、手相を自分で書くって有効らしいです。

  ↓ 

 

 

嘉納治五郎も今までスポーツ振興やオリンピックに尽力してきたけど、田畑政治ほどじゃなかったのって、あくまでもスポーツ競技全体として推進し、その代表的スポーツが世界的にも陸上だったことから、世間への熱の伝わり方が半端だったのかもしれないよね。自分の得意とする柔道じゃないからイマイチ説得力にかけたんじゃないかしら? 

 

柔道自体がまだ世界的に広まっていなかったし、実際にオリンピック正式種目になるのは1964年からだからねぇ。柔道も陸上や水泳みたいに広まっていたら嘉納治五郎の熱の入れ方も違っていたでしょうに。

 

 

替り目

ラストのシーン、本当に今回で金栗四三と田畑政治という世代交代、入れ替えなんだなぁと感慨深く思いながら涙流さずにいられなかったわ。オリンピックの思い出を田畑政治が尋ねるシーンで、今までの(主にストックホルムだったけど)シーンが回想されるんだけど、視聴者の目線から言ってもやっぱり初回のストックホルムしかないでしょう。

 

自費参加で、しかもなにもわからず長い道中移動して、行った先の環境も気温も行ってからわかったとか、自費参加なんだから気負わず参加したつもりが、いつの間にか日の丸背負っちゃったり、外国人との力の差、レース棄権などなどダークサイド金栗四三が現れたいろんな意味で貴重な経験だったストックホルムオリンピック。

 

そういう苦労話的なエピソードが四三の口から語られるのかな~と思いきや、「甘いケーキと紅茶」って、話の前後の脈略がすっとばされているために、田畑政治にまったく伝わらなかったでしょうが!! どうせならストックホルムの苦労を、田畑政治並にバーっとしゃべって後世のためにすべて伝えてほしかったよ。

 

だけど、四三がそこを一番の思い出にしたのって、やっぱり、レース中に倒れてしまうまでにたくさんの苦労があって、辛くてどうしようもなかったことは一言では表しきれなかったのだろうし、異国の地で現地の人に助けてもらったときの口に入れられたケーキの甘さが、今までの辛さを緩和してくれたような、そんな気持ちだったんじゃないかと思った。だからこその「ケーキと紅茶」に集約しちゃった発言。これは四三本人と視聴者しかわかんない。でも、逆にベラベラしゃべり倒すよりもいい。ニクイ脚本だなぁと思ったわよね。

 

金栗四三は結果は残せずとも3度のオリンピックに出場した先駆者であり、偉大なる人だ。彼がいなければ、ここまでの道筋をつけることはなかったわけで、その部分に関しては田畑政治も一目置いている。そう思うと、今のオリンピックをはじめとするスポーツ振興は、嘉納治五郎や金栗四三他、先駆者たちがいたから今がある。もう敬意を表する気持ちしかない。

 

来年、2度めのオリンピックがやってくるわけだけど、先人たちの努力や災害、戦争を挟みながらも今に引き継がれているのかと思うと、こうしてみんなでスポーツを楽しむことができる世の中になったことがありがたくてしかたがない。きっと来年は万感の思いで開会式を迎えるんだろうな。テレビの前で泣いちゃうよ。


※NHKオンデマンドでは、4話~8話は例の事件で配信を見合わせていますが、ストックホルムでの苦労話はちょうど9話からなので、そこから観ても楽しめると思います。

 

次回は、満州事変というきな臭い世の中の流れがやってきて、否応なくオリンピック招致も影響を受けるわけだ。やっと関東大震災から復興してきたのに、今度は戦争の犠牲に。本当に日本の歴史は一筋縄ではいかない。

 

だけど、その中でどんなふうに田畑政治が切り抜けていくのか、高石(斎藤工)を弄り倒し、松澤(皆川猿時)に殴られる。そんなお馬鹿なやりとりが、これからの物語の希望だよ。

 

 

おしまい。

 

 

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