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【いだてん】26話感想:人見絹枝と田畑政治日本スポーツ界の風穴を開けたアムステルダム五輪

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Rodrigo Soldon Souza | Flickr

 

第2部に入ってすぐにこんなにもまた泣くことになろうとは。とにかく人見絹枝を演じた菅原小春の迫真の演技に圧倒されたすんごい回。

 


以下、ネタバレがありますので観ていない方はご注意を!

 

 


他のジャンル(ミュージシャンやお笑いなど)の人が役を演じるときって、もともと俳優をやっている人を圧倒する力を持っていたりする。表現者として普段から表現しているベースがあるからなんだと思うんだけど、菅原小春もその一人なんだなと思ったわよね。峯田和伸くんと同じようなタイプ。もちろん役作りはするでしょうけど、本人がもともと持っている在り方や魂の部分みたいなものが全面に出ているのよね。小手先だけの演技ではなくて、その人の奥底から放たれるものが溢れ出るので、そこにいるだけですでに役が完成する感じ。

 

www.nhk.or.jp

 

実際にインタビューでも語られていましたが、「自分の魂を活かす」という言い方を何度もされているんですよね。これは小春ちゃんも同じようなタイプだし、NHK側もそれを見越してのキャスティングだったことを思えば、本当に小春ちゃんじゃないとできなかった役でしたよね。

 

 

女子スポーツの風穴を開けた人見絹枝

今回、人見絹枝エピソードの回。彼女を取り巻く環境の厳しさが否応なく描写されててすごく切なかったのよ。ひどいんだけど、そんな時代の中で身を削って結果を出してきたことを思うと泣けてしょうがない。今回もシマちゃん回想シーンから五りんへ映像がつながるニクイ演出もしっかりあったし。

 

今までにもまして女子スポーツに対する風当たりの強さが強調されていた気がする。あの野口(永山絢斗)の「女子には無理だ」発言は心配から来ているんだろうけど、女子体操を推奨する二階堂さんや竹早の女子たちはどうすんのよ!と思ったわよね。それは時代を重ねて元号が変わっても、まだそういう意識かよ!っていう絶望感。

 

せっかくシマちゃんが人見絹枝をやる気にさせてくれて、二階堂さんの元でさまざまな大会で結果を出したというのに、それでも社会は「化け物」「バッタ」「妖怪」「六尺女」「男女」ってひどくない? 日本の男、小せぇって思ったわよね。田畑政治(阿部サダヲ)も本当に容赦なく「化け物」を連呼するしさ。そのくらいひどかったという描写だとしてもあまりにつらい。そう考えると、今よりももっとひどい男尊女卑の時代の中で、人見絹枝はよくぞ戦ったなと思うわけよ。

 

輝かしい結果を出し、世界の注目を浴びることで、女子の陸上競技がオリンピックの正式種目になるくらいの貢献をしたわけだからすごい人なのに、ほんとーーーーーに井の中の蛙・日本。情報なさすぎ。

 

散々バカにしておきながら、オリンピックに出るとなったら手のひら返して、プレッシャーを与えまくる。これって、今も変わらないんじゃないの? そんで、女子選手として参加するも、男子選手の身の回りの世話までやらせてたってのもひどい話。この逸話だけでもかなり腹立つ。

 

周りからの容赦ないプレッシャーをかけられ、案の定、100mでは結果を残せず、人見絹枝は決断するんですよ。

※以下、引用

男は負けても帰れるでしょう。でも、女は帰れません。
負けたら「やっぱり女はダメだ。男のマネして走っても役に立たない」と笑われます!
日本の女子選手全員の希望が、夢が、私のせいで絶たれてしまう。

 

この小春ちゃんの迫真の演技シーン、こっちも泣いたわよ~。どれだけの思いで人見絹枝が決断をしたのか。今までの女子スポーツの扱いを思いめぐらせるだけでも感極まるわよ。自分に対する今までの屈辱、風当たり。

 

ここまでくると結果を出すしか世間を黙らせる方法はない。罵倒されることは嫌なことだけど、結果的に彼女の負けん気に火がつく原動力になったことは確か。そこまで決断できるくらい、感情の鬱積は相当なものだったはずよ。

 

きっと本当に死んでもいいくらいの気持ちで決断し、命をかけたんだろうな。世間を偏見を変えるには、まず自分が命を燃やすこと。それしかないよね。その功績が、こうして今に伝わっているのかと思うと心が震えが止まらないわよ。

 

ただ、残念なのは野口(永山絢斗)の懸念が現実になったこと。結果的に命を縮め、人見絹枝は24歳という若さで亡くなる。確かにwikiの情報を読んだだけでも、彼女が短い期間に相当ハードなスケジュールで大会に出場したり、就職したり、講演会したり、その合間に掛け持ちで競技を行っていたことが読み取れるの。トキワ自動車・アストロズの非じゃないのよ。もっとハードスケジュールだから。

 

現代のように競技の技術のほかにメンタル面、栄養面、トレーニング面の情報なんてほとんどないわけだし、当時は当時なりに情報の蓄積はあったにせよ、女子が大会に出る前提じゃないので、女子の体格差に関してはあまり情報もなかっただろうと思われ、野口が女子の出場を止めたのにも意味があったのかなと、今となっては思うわけ。

 

実際、運動はやりすぎると逆に体を壊すし、まして女性はマラソンなどの走る系の競技においては、走ることによる赤血球の破壊や生理などで貧血になりやすいと言われているので、人見絹枝も少なからずそういう影響はあったんじゃないかと思うし、どうみても大会続きで休養している様子がうかがえないことからして、かなり酷使されたんだろうなと素人の私ですらそう思ってしまった。

 

人見絹枝本人としては、化け物扱いされて生きるより、世界ではぜんぜん普通だとわかったことや、魂燃やした生き方ができたことは、短命だったとしても本望だったのかもしれませんね。

 

人見絹枝エピソード、あっさりとナレ死になっちゃったけど、小春ちゃんの最後のセリフあたりはやっぱりちょっと棒読みなんだよね。だけど、そこがまた初々しくもあり、寺島しのぶの演技力でちゃんと包まれていている様がまたよかったわ。

 

 

参加することに意義・・・ないわ~!

なんでかんで口は悪いし弾丸トークな田畑政治なんだけど、女子のオリンピック参加について議論している会議シーンでの発言は的を得ていると思った。

 

参加することに意義・・・ないわ~!とか、いい加減に勝てよってみんな思っているよとか、勝てる人だそうよとか、

選手の気持ちを面倒見るのが監督であり我々でしょうよ!なにしてたの今まで!
選手に全部背負わせるから、プレッシャーに押しつぶされて実力が発揮できんのだよ!違う?

 

大体が視聴者の思うところを突いていたよね。本当にそう思ったもん。だって、プレッシャーがあることや異国の気温の変化で結果が出ないことは何度も経験してきたのに、まったく対策されてないんだもの。軍国主義さながらの日本にそういうメンタル面のフォローという概念がないってことだよね。嘉納治五郎、柔道家のわりにあんまり役になってなくない?

 

というか、田畑はどこからどうしてそういうことに気がついたんだろうと思ったけど、彼もまた家系的に男子は短命という出自から濃密に生きようとした証なんだろうし、もともと頭がよく好きなことに対する見聞も広い。分析力に長けている。この人が早くに体協と絡んでいたら、金栗四三もなんらかの結果が出たかもしれないと思ったけど、いやいや、田畑は水泳にしか基本興味がないから無理だわ。

 

なんというか、金栗四三もアレな人だったけど、田畑政治も上をいくアレな人。思い込みが激しくて、興味のあることのみにまっしぐら。むしろそのことしかやらない。田畑政治は選手になれないからこそのプロデュース力が発揮されているってところなんだけど、選手のためになにができるかを具体的に示した人ともいえる。

 

そのあたり、嘉納治五郎はぜんぜん気づいていなかったってことだよね。お金かけて大風呂敷広げることは得意だけど(競技場を作ることも大事だけど)、選手の環境を整えることは選手任せでなにもしてなかった気がする。だから今までオリンピックで勝てなかったってことだ。そこは田畑政治の言うとおり。

 

彼の登場によって、陸上以外の競技も注目されて、オリンピックでも今までメダルにかすりもしなかったのにメダルが取れて、選手環境が変わっていくということでは、かなり大きな風穴を開けたこの功績は大きいよね。田畑政治はオリンピックの現場にはいけなかったけれども、それ以上に大きな仕事をした。これは後世のためにもすごいことですよ。ちょっといけ好かないキャラだけど、選手のためならなんでもするという姿勢は好きよ。


で、来週予告、いきなり実次の顔に白い布が! そんなネタバレしていいの? それやっちゃおしまいでしょー。でも、女子水泳選手も生まれるっていうし、田畑政治の暴走っぷりを楽しもうではないですか。

 

おしまい。

 

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