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【グッドワイフ】10話最終回感想:古い価値観を引きずった夫婦が出した結論

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日曜劇場『グッドワイフ』|TBSテレビ

 

きれいに終わりすぎだよ!! というのと、たった3ヶ月で終わらせるために詰め込みすぎた感があったかなというのが率直な感想。

 

以下、ネタバレが含まれます。観ていない方はご注意を!

 

 

塩・タレの演出

展開としては、最終話の中で二転三転、裏切っているのかいないのか、裏切ったように見せかけて実はそれは仕込みだったとか、いろんな意味で事務所に対して一物を抱えるみちると朝飛の行動が、視聴者を揺さぶるキーとなってておもしろかったですね。

 

2人が焼き肉店で食事をしているシーンが印象的。熟成肉の食べ方について、「熟成肉は塩のほうがおいしいって多田先生が」と、タレを付けそうになったみちるの手を止め、しばらく視線の探り合いになる。その視線はみちるの多田を信じるという意思を描いているわけよ。朝飛がみちるを尊重しようと「タレです。タレでいきましょう」と折れるのに、みちるは塩を付ける。それは、多田が熟成肉の食べ方を指南した=つまり多田の言い分を信じているということ他ならないわけ。

 

でも、朝飛はこの時点ではまだ多田を信じ切っていないばかりか、事務所を切られた複雑な思いや、みちるに食事を誘われたのは自分目的じゃなく、多田に有利になるような情報を引き出すための誘いだったことから、あえてタレを付けて食べて、やっぱりおいしく感じないという表情からの~その後の裁判で証人として立ったときのセリフ、「信じていたのに裏切られた気持ちです」と強く発言するところまでがセットだったのね。流れるような脚本だわ。そして、演出が本当に見事。タレを付けるところにいちいちSEをつけるところも、ちょっとわざとらしいと思うかどうかギリギリな感じがまたいい。

 

どちらも被告人である多田や検察側の壮一郎にワケありで、どっちに付くのか付かないのかハラハラさせ、結局は2人とも事務所側に付く結果となったわけだけど、なんでかんでいつだって裏切れたはずだし、絶対情報売ってやろうとしてたはずなのに、杏子や多田の人柄(というか人情操作かもしれないけど)にほだされてしまったんだねぇ。

 

白黒つける裁判の中で、提出した証拠が一見被告人を追い詰めるかのようにみえて、それが別の事実により被告人を助けるものになってしまう展開はやられたなーと思ったのと、壮一郎の狙いが単なる嫉妬ではなくて、多田はただの噛ませ犬であって、検察の膿を出すべく動いたっていうのがさー、唐沢寿明だからってなーんかできすぎっていうか、結局、正義感が強い策略家といういい面しか描写されていない感じが納得いかないわねー。

 

正義を振りかざしておいて、過去の過ちは誰にも断罪されずに堂々と検事正に戻ってんだよ。まあ、不貞問題は夫婦の問題だし、おそらく壮一郎とみちるは1回だけの過ちを周囲の誰にも言ってないつもりなんだろうけど、だけどさ、当時の職場の人間とのことだったわけだよ!? 脇坂(吉田鋼太郎)だってそれとなくみちるの好意を知ってたし。それで、みちるだけが辞める形になるって、こういうの、いつも女性だけが不利だよなーって思う。だから、こういう設定はドラマとはいえ、なんかモヤモヤするんだよね。

 

壮一郎が「膿」といったのは、次長検事である御手洗のことだったけど、かつて容疑をかけられていたとき、脇坂にもさんざん痛い目みてきたのにそっちはただ利用するわけだー。脇坂がゲスで上司に取り入ろうとする性格すら見越して利用するところは唸ってしまったけど、あまりにもかっこよすぎじゃない? 

 

しかも最後は検察の人間を引き連れて、レッドカーペット階段をババーンと乗り込む姿はもう主役級の振る舞いじゃん。『白い巨塔』とか『不毛地帯』か! 最終話は杏子の決断というより壮一郎をいい人にして終わってしまった印象がなんだかなぁとモヤっとする。

 

女が立派すぎると男は弱みを見せられないから

かっこよく立ち振る舞って汚名挽回したかのようにみえた結果のうえで、本筋は夫婦問題。どんなに挽回したようにみえても、杏子のモヤモヤした気持ちは晴れていない。一線を超えるということを許せるようなものでもないし、またその気持ちに正直になろうと決めた杏子の心情というかキャラクターがいかにも日本人的でしたね。

 

どんなに壮一郎ががんばったところで、一度犯した過ちは犯罪歴さながらに夫婦関係の中では信用を落とすし、犯罪並みの烙印を押されるようなもので決して消えない。そして、そういうことを許すって難しい。NTRを嗜好とする夫婦ならともかく、一般的には婚姻関係にあるパートナーが他で浮気をすることは耐えがたいことではあるけど、こういう問題って夫婦のどちらにも原因があったりするのよね。

 

それをほのめかすような神山(賀来千香子)の「女が立派すぎると男は弱みを見せられないから」というセリフ。杏子が隙のないいい妻をやってきたこと悪いとはいわないけれども、男が窮屈になって弱みを見せなくなるっていう・・・。こういうセリフや価値観、描写されるたびに「またか」とうんざりしてしまう。女が立派だからとかそういうのに揺るがない成熟した男の描写はないもんかねー。

 

女が立派だからってそれを浮気の理由にすんなって話なのよ。いい奥さんで隙がない? いい妻すぎて何が不満? 女が立派だと弱みをみせられないからって、馬鹿な女になれとでも? そこまで女が全部面倒みるのかよ~~母親かよ~~と思うわけ。もう時代は変わったんだし、そういうのやめようぜ~と全力で思ってしまったわよね。

 

 

新しい家族の形

結局、最後は離婚を選択した杏子と壮一郎。しかも円満離婚。役所の封筒って、離婚届収まらないんだねーというか、縦の四つ折りじゃなくて普通に用紙畳めばいいのに、そこはホレ、離婚届に壮一郎がサインしたことを視聴者に見せるため、芸が細かい演出だわ。

 

お互いバリバリ仕事している立場なら、夫とか妻とか、縛りあわない関係のほうがうまくいくかもしれない。離婚しても子どものために家族という組織の共同経営責任者にはなれるってことでは最高の形かもしれないし(お互い法律の専門家だからそこはきっちりできそうだし)、今、夫婦関係で求められることは意外とそういう意識かもしれないなと思いましたね。

 

それに、その決断ができた杏子は、まちがいなく事務所の正式採用が一番背中を押したと思うし、こういう決断は自分の経済的自立があってこそできるという面もあるので、女性が自立してこそ、自分の人生に明確に決断し、責任が持てるってことなんだよね。そういうことを自分に置き換えたとき、アラフィフからの自立はかなーりキツイけれど、なんらかの形で成し遂げたいという気持ちは自分の中にあるし、その気持ちをドラマを通して改めて確認できた気がする。

 

どうしてもアラフォー世代は昭和から続く結婚の価値観の残党なわけで、視聴者もそこらへんがターゲットでしょ? もはや、夫が外で働いて妻が家を守る、しかも良妻賢母でっていうのはいかにも昭和な価値観だし、いい加減、そういうのは時代に合わなくなっている(だから、朝ドラ『まんぷく』は好きで観ているけど、ちょいちょいふく子の良妻賢母ぶりが鼻につくのよ)。ていうか、経済的に厳しいこの時代、夫婦共稼ぎしないと立ちゆかないし、性別関係なくいろんな役割を担っていかないと家族という形を維持できないよという警鐘ともとれます。

 

夫婦や家族にとってなんらかの出来事が起こり、紆余曲折あって再構築する。お互いに経済的にも精神的にも自立するという、これからの夫婦や家族の形を、日曜夜9時に値するようにきれいにまとめたドラマだったんじゃないですかね。最初は海外版と比較こそしたけれど、回が進んでいくごとに、もうそういうのは関係なく純粋に楽しめました。

 

 

賀来千香子がなかなかいい味でてた

最終話はできれば2話くらいは引っ張って欲しかった~~~。せっかくキャスティングとどんでん返しが多くておもしろかったんだから、もっとじっくり人間関係とか、キャラの心情描写を重厚かつ繊細にやってもらったら、もっと感情移入とかどんでん返しのときのカタルシスがあったのになと思ったけど、この短い3ヶ月という期間を、場面(最終回のみちると協力者が待ち合わせる高架下の画がすこぶるよかった!)や小物、演者の表情の演出、BGMのすばらしさで十分に補完していたと思います。

 

最後に、最終話の賀来千香子の迫力ある法廷シーン、すごく良くて!! 今回のようなちょっとキツめのキャラとか感情を荒げる演技がすごく似合ってるし、ルックスが派手なので辛辣なセリフが似合う似合う。ラストは事務所を独立した父親と、1話に出てきた武田鉄矢の番組ステッカーに関する裁判で法廷に立ち対決するとか親子対決の激論ぶりも愉快すぎる。妙に専門用語の滑舌がいいなと思ったら、テレ朝でずっと弁護士役でシリーズやってたんだもんね。そりゃあ違和感ないわけだわ。

 

それに衣装もさすが現役モデル、美しい着こなし。経営者の貫禄を表すようなシックで大人なデザインスーツの数々。毎回衣装も楽しませてもらいました。近年、単発ドラマの刑事ものとかでしかお見かけしなかったので、どこかB級扱いというかなんというかゴニョゴニョ・・・。賀来千香子って実はまだまだポテンシャルのある女優さんだと思います。こういうゴールデンタイムのお金をかけたいい作品に出る賀来千香子がみたい! テレ朝でB級刑事ドラマに収まらないで欲しいのよ~~。

 

ということで、日曜夜9時、最後まで観てしまいましたとさ。おしまい。